地域通貨アプリ導入へ 茨城・日立市 獲得コインで特別体験 2024年3月から

日立市役所=同市助川町1丁目

コミュニティ活動の活性化に向けて、茨城県日立市は31日、スマートフォンのアプリを使った「電子地域通貨」を来年3月に導入すると発表した。地域の清掃活動やイベントなどに参加することで「コイン」を獲得し、市内の店舗や公共施設などで特別な「体験」ができる仕組み。地域通貨アプリの導入は県内自治体で初めて。

事業費520万円を盛り込んだ2023年度一般会計補正予算案を7日開会の市議会定例会に提出する。導入するのは地域通貨アプリ「まちのコイン」。通貨の単位の名称やコインを使える場所は今後決める。

利用者は地域の行事などに参加した際に、会場でQRコードを読み取るとコインを獲得できる。ためたコインを使って、飲食店や公共施設、地域の団体などが提供するユニークな「体験」を楽しめる。コインの換金はできない。

市によると、コインを「もらう体験」としては、地域の防災訓練やお祭り、清掃活動などを設定する。「使う体験」では、飲食店の新メニュー試食や、食品ロスを目的に賞味期限が迫った食品を提供するなどして、まちの活性化や地域課題の解決につなげていく。

市内にはおおむね23の小学校区単位に地域住民でつくる「コミュニティ組織」があり、環境美化や自主防災などの活動を担うが、担い手不足や高齢化が近年課題となっている。市は、アプリ導入を若い世代にそうした活動に参加してもらうきっかけとしたい考えだ。

参加事業者は今冬に募集する予定。市コミュニティ推進課は「地域通貨を通して人と人のつながりをつくり、コミュニティ活動やまちの活性化につなげたい」としている。

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