第41回「1995年11月(その3):WRENCHの貴重なレコードジャケットが......」

レコード&昭和プロレス愛好家のゴベと申します。 前回(第40回)、1995年11月28日にシェルターで行なわれたイベントに出演したBACKBONEを紹介しました。BBのRyujiさんがヴォーカルを務めていたバンドです。 シェルターのイベントには、BBでギターを弾いている坂元東氏が在籍するWRENCHも出演していました。 終演後、物販でWRENCHの新作12インチを購入。無地の白いジャケットに、曲名が記載されたシールが貼ってありました。

A面に「Midnight Express」「Languages Made Monsters」「ガゾウ(Gazou)」の3曲。 B面にはPINK FLOYD「Let There Be More Light」の長尺カバーが収録されています。

WRENCHが初めて制作したアナログレコードです。せっかくなので、サインをお願いすることにしました。 シェルターの入口付近で待機。最初に出てきたのはキューくんこと坂元東氏。愛称にちなんで「Q」と書いてくれました。キューの由来は、名字が坂元だからでしょうね。 「シンプルなサインだなぁ」と思いながらキューくんのサインを眺めていると、背後から「ジャケットのシール、オレが貼ったんだよなぁ」という声が。ふり向くとプンクボイことトクちゃん(現・ロマン優光)がいて、私が握っているペンを凝視していました。

プレッシャーに耐えられなかった私は「トクちゃんもサインを書いてくれませんか?」と言って、レコードを渡してしまったのです。不本意ながらプンクボイ氏のサインをゲット。 このやり取りを見ていたBUZHOULのアラタ氏(ds)が「WRENCH、レコードを出したんだ。見せて!」と言うので差し出すと、勝手にサインを書き始めたのです(しかも似顔絵付き)。 メンバーのキューくんよりもたっぷり時間をかけて描かれたアラタ氏の似顔絵を眺めながら呆然と立ち尽くす私の前に、WRENCHの松田知大氏(b)が登場。気を取り直してサインをお願いすると、キューくんが書いてくれた「Q」の文字をうにょうにょと縁取り、最後に「ウルトラ」と付け加えました。

同じバンドのメンバーとはいえ、他人のサインを勝手にアレンジしちゃダメだよ……。 やけっぱちになり、その場にいた友人や関係者にもサインを入れてもらった結果がこちら。

WRENCHの記念すべき初のアナログ盤が、卒業式にもらう寄せ書き色紙のような状態になってしまいました。「卒業してもヨロシクネ」って書いてあるし(苦笑)。SUPER JUNKY MONKEYの睦ちゃん(vo)やジェイソンズの茶谷雅之氏(ds)のサインも入っているので、ご確認ください。 唯一の救いは、和田成文氏(vo)と名越藤丸氏(ds)にもサインをもらえたこと。かろうじてメンバー4人のサインを揃えることができました(揃ってなかったら最悪だよね)。 このジャケを見るたびに、プンクボイ氏のプレッシャーに負けた自分を責めてしまうのです。

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今年(2023年)の5月26日に、WRENCHが新作12インチシングル『Breaking Man / MOONSHOT』をリリースしました。ツインドラムの5人編成となった現メンバーによる初音源です。 彼らがアナログ盤を制作したのは、2000年に出た『bliss』の2枚組LP以来。なんと23年ぶりです。

ジャケット裏面のサインはメンバーのみ。彼ら以外のサインは入っていません! 30センチ四方のジャケが最高。

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五辺宏明(ごべひろあき)プロフィール

レコード&昭和プロレス愛好家。ロフトグループの加藤梅造社長との出会いは、ライブハウスのモッシュピット。

https://note.com/gobe_vinyl

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