人気アニメ『タッチ』の声優が“声”のアドバイス 20代の失敗談も語る

ビジネスシーンにおいて、“声”は相手に対しての印象という面において、とても重要な要素であることは疑いのないこと。そこで人気アニメ『タッチ』で、主人公・上杉達也の弟・和也の声を演じ、現在でも現役で声優、ナレーションの仕事を行いながら、動画配信教材『ピュア・ヴォイス おとなの声優倶楽部』を監修して、若手に対して指導も行っている声優の難波圭一に、“声”のケアのこだわりや、一般人でも参考にすることができる“声”のアドバイスを聞いた。

──喉のケアについて

コロナになって皆さんが様々な喉のケアをするようになったと思うのですが、声優はその前からずっと同じような喉のケアをしていました。仕事ですので、それが当たり前だと思っていました。マスク、うがいは必須でした。喉の調子を考えながらお酒を飲んでいましたね。

──声優が前日に必ずする喉のケアはありますか?

人によって違うのですが、私は次の日にどんな“音”を使うのかによって、その“音”のための発声練習をします。高い音で話すのと低い音で話すのとでは、舌の動きって違うんですよ。そこはすごくセンシティブですよ。

──長い声優活動の中で、明日、仕事なのに「ちょっと喉の調子が・・・」ということもありましたか?

もちろん、そういうこともありました。風邪を引いてしまうこともありました。ただ、「飲み過ぎました・・・」といのはちょっと言えないので・・・(笑)。告白すると20代の頃は飲み過ぎてしまった状態で仕事をしてしまうこともありました。でも、私が若い頃と違って、今の若い声優って本当に真面目で、そういうことは本当に聞きません。仕事に関しての責任感は今の方たちの方がしっかりと持っていると思います。

──「ちょっと喉の調子が・・・」という時の応急手当ってありましたか?

う~ん、ないですね(笑)。若かったのでパワーでごまかしていました。風邪をひいてしまって声がちょっと変わってしまった時は、「大丈夫だよ、このキャラだって風邪を引くときはあるから」って言ってもらって、優しくフォローをしてもらったこともありました。ただ、あらためてになりますが、プロとしては事前にしっかりと体調も含め準備をするのは基本ですので、反省をしています。

──声優の方でなくとも、例えば仕事でのプレゼンではっきりと大きい声で話さなければいけない場面もあると思います。そんな方へのアドバイスはありますか?

やはり、急に何かうまくできるかと言えば、それは難しいと思います。「明日、100メートルを9秒台で走って」って言われても無理じゃないですか。やはり重要なのは日頃からの意識と準備だと思います。まず、そもそも、暗い人間よりも明るい人間の方が話す相手も気分がいいじゃないですか。ただ性格を突然、明るくするのは難しいですが、ボソボソ話すよりも明るく大きな声で話せる方が気持ち良いという意識を持つことはできると思います。この意識を日々持ち続けていれば、大きな舞台でも問題ないと思います。逆に言ってしまえば、難しいことではなく、それだけのことだと思います。結局は自分磨きという話になると思います。

──滑舌が良くないと気にされている方にもアドバイスをお願いします。

これも日々の習慣だと思います。投げやりな言い方にせず、舌をしっかりと使う習慣を心がけましょう。また、明るく高い音の方が舌がはやく動いてくれやすいです。まずは、明るい音で、ゆっくりでいいので言葉をしっかりと刻みながら、話すことをこころがけてみましょう。
動画配信教材『ピュア・ヴォイス おとなの声優倶楽部』でも、発声や滑舌など、基礎的なことを螺旋階段のように繰り返し繰り返し行っていきます。
繰り返し練習することで、習慣になり、身につけることができます。

<プロフィール>
難波 圭一(なんば けいいち)
山口県岩国市出身
有限会社ケッケコーポレーション代表

【出演】
タッチ(上杉和也)
きまぐれオレンジ☆ロード(1987年 ー 1988年、小松整司)
機動戦士Ζガンダム(カツ・コバヤシ)
ドラゴンクエスト ダイの大冒険(第1作)(1991年 – 1992年、ポップ、ミストバーン)
難波圭一監修「初めての方でも、声優を学べる配信講座 ピュアヴォイス」
https://www.purehearts.co.jp/pure_voice/lp01/
など多くの作品に出演

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