プジョーが期待を寄せる19歳ヤコブセンの役割。9X8を駆る先輩たちは「本当にフレンドリー」

 2023年5月22日にプジョーとジュニアドライバー契約を結んだマルテ・ヤコブセン。すでに“ウイングレス”のル・マン・ハイパーカー、『プジョー9X8』のテストドライブを行っている19歳のデンマーク人ドライバーに与えられた役割が、フランスのメーカーによって紹介されている。

 WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦しているプジョー・トタルエナジーズでチームマネージャーを務めるクリスチャン・デルトゥムにとって、2003年生まれの若く才能あふれるドライバーの加入は、経験豊富なドライバーたちを擁するチームに新しい活力をもたらした。

 ヤコブセンがこのチームに加えられた目的は、ハイパーカーのテストに参加させるとともにシミュレーターでの準備、および体力などのフィジカルを整えることでメーカープログラムの経験を積むこと。そして、それらを通じてチームのために最善を尽くすことだ。

 彼に与えられたミッションのひとつに、より客観的なフィードバックをチームの開発陣にもたらすことが挙げられる。

「若きデンマーク人ドライバーの役割はプジョー9X8の開発の一端を担うことであり、私たちは彼の若さのおかげで、経験豊富なドライバーたちの過去の経験に影響されることなく、より自然なフィードバックを得ることができる」とデルトゥムは説明した。

 ヤコブセンには、ロイック・デュバルやジャン-エリック・ベルニュらレギュラードライバーたちのフィードバックを補強するかどうかにかかわらず、クルマの状態を客観的な視点で見た意見が求められているのだ。

ヤコブセンについて「とても人間的でフレンドリーなアプローチをするドライバー」と表現したクリスチャン・デルトゥム。「とても集中力があり、同時にリラックスしている。彼はガレージに静けさ落ち着きをもたらし、それが彼がステアリングを握った最初のテストセッションが非常にうまくいった理由でもあり、私たちは非常に満足している」と続けた。

 そんな彼は今年2月に最初の走行テストを実施しているが、この夏にふたたびプジョー9X8をドライブする機会が与えられた。2度目のテストは予定どおりに進み、ヤコブセンはさまざまなセットアップを試し、貴重なフィードバックを共有しながらハイパーカーに慣れることができた。

 LMP2カーに慣れているヤコブセンにとって、プジョー9X8は「はるかにパワフル」というのが第一印象だという。

「強力なエンジンのおかげでクルマはととてもパワフルで、ストレートはめちゃくちゃ速い。また、僕たちドライバーを助けてくれる多くのツールがある。例えば、ロングスティントではタイヤのデグラデーションや燃料消費など、すべてのツールがあらゆる状況を管理しカバーするのに役立つんだ」と19歳のデンマーク人は語った。

「もっとも難しいのは、それらすべてのツールが何をするものなのかを覚えておくことだ。でも、ありがたいことに無線やチームがアドバイスをしてくれる」

 プジョー・トタルエナジーズ内の雰囲気については、「良い環境」であるとヤコブセンは続ける。

「他のドライバーたちと多くの時間を過ごす機会はなかったけれど、彼らは本当にフレンドリーで、彼らのそばにいられるのは素晴らしいことだと感じた」

「可能な限り最高の結果を出すためには、僕たち全員がチームの一員として一緒に行動することが重要だと思う」

 ヤコブセンは今後も何度かプジョー9X8での走行テストとシミュレーターテストに参加する予定だ。一方のチームは、9月8~10日に富士スピードウェイで開催される2023年シーズン第6戦でふたたび93号車と94号車を走らせ、WEC参戦後初の表彰台を獲得した前戦モンツァに続く好成績を狙う。

テストのためプジョー9X8に乗り込むマルテ・ヤコブセン
ポルティマオ(アルガルベ・サーキット)でテストを行うプジョー・トタルエナジーズのプジョー9X8
プジョーは若いヤコブセンに客観的なフィードバックの提供を期待している

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