新潟県がクマ出没警戒警報を発令 ブナの実 凶作予想、エサ不足で人里への出没注意 2020年以来の警報、「自分の命守る行動を」

イチゴを覆っていたネットにクマが開けたと思われる穴。目撃者によるとクマは走ってネットを突き破っていったという=5月、新潟市南区

 新潟県は9月1日、クマのエサとなるブナの実が凶作と予想されることから、県独自のクマ出没警戒警報を発令した。発令は2020年以来。同年は19年ぶりに死者が出た。クマがエサを求め人里に出没する可能性が高いため、県はクマの活動が活発になる早朝や夕方の入山を避けるなど、注意を呼びかけている。

 新潟県は7月18日、湯沢町でクマによる人身被害が発生したことを受け、クマ出没警戒注意報を発表した。通常、県内5市町村で人身被害が発生した場合に注意報を警報に引き上げる。だが、今年は8月のブナの豊凶調査で凶作が予想された。また、ブナが並作〜豊作だった翌年は、クマの出没・目撃件数が増える傾向にあるという。22年は並作だった。

 こうした状況から、目撃件数・人身被害ともに過去最多となった20年度並みの被害が懸念されるとして、大学教授ら専門家らの意見を踏まえ、被害が多発する前の発令を決めた。

 新潟県によると、本年度は8月31日時点で人身被害が1件あり、目撃件数は平年並みの499件だが、直近5年の人身被害は9〜11月に集中している。県は今後、警戒ポスターを県内小中学校に配布するなどして注意喚起を徹底する。

 新潟県は入山する際は鈴など音の鳴る物を携行し、万が一クマと遭遇した時はクマを刺激しないよう、ゆっくり後退するなど、慌てず行動するよう求めている。

 新潟県鳥獣被害対策支援センターの渡部浩所長は9月1日、県庁で会見を開き「まずはクマから、自分の命を守る行動を意識してほしい」と強調した。

散歩中の男性がクマに襲われたとみられる苗場スキー場内の現場=7月18日、湯沢町三国

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