イタリア製バイク「スクランブラー500」はオンもオフもワクワクの1台だった!

イタリアで1968年に生まれたファンティック。70年代にはモトクロスなどのレースに参戦を開始。現代のキャバレロスクランブラーのイメージカラーであるレッドタンクとイエローゼッケンという組み合わせはこの頃からの系譜であり、その後トライアル界などにも進出して活躍することになる。

2014にリスタートをきることになった新生ファンティック。現在はコアブランドのキャバレロシリーズと、プレミアムトレールのエンデューロ&モタードシリーズの2系統が主力商品となっている。

CABALLERO SCRAMBLER500の2023モデルのカラーリングは、定番のイメージカラーのレッドタンク&イエローゼッケンに加え、イエロータンクの2色設定となっている。

今回は、125/500の排気量に加え、6バージョンあるキャバレロシリーズの中から、最もキャバレロらしいキャラクターが味わえるスクランブラー500をピックアップ。オンロードセクションとオフロードセクションの両方のインプレッションをお届けしよう。

試乗・文:谷田貝 洋暁
写真:川崎裕貴/谷田貝 洋暁

FANTIC 『CABALLERO』のホームページはこちら!## ファンティック・キャバレロ スクランブラー500のスタイリング

FANTIC キャバレロ スクランブラー500
<SPEC>
●全長2166㎜/全幅820㎜/全高1135㎜
●ホイールベース1425㎜
●シート高820㎜
●車重150㎏(装備)
●水冷4ストSOHC単気筒 449cc、40HP/7500rpm 43Nm/6000rpm
●変速機6段リターン
●燃料タンク容量12ℓ
●ブレーキF/R=ディスク
●タイヤF=110/80-19 R=140/80-17
●ボディカラー:イエロー、レッド
●価格:1,190,000円/Deluxe:1,300,000万円(税込)

●モータリスト合同会社●https://motorists.jp●03-3731-2388

光源にはバルブ切れの心配のないLEDを採用しながら、ヘッドッライトのデザインはクラシカルな雰囲気の丸目一灯としている。

アルミ削り出しの三又を採用。このほかピボットプレートなどの要所にアルミビレットパーツが使われており非常に高級感がある。

スタイリング優先のコンパクトなメーターは意外に多機能で、時計、トリップ×2、燃料ゲージ、バッテリー電圧のほか、タコメーター仕様にも切り替えることができる。## ワインディングから旅で楽しめるビッグシングルのキャバレロスクランブラー500

スクランブラーらしく、リーンアウト気味のオフロード乗りするのが似合うキャバレロ スクランブラー500。

エンジンをかけてまず驚くのは、水冷4スト449cc単気筒が発する強烈な鼓動感だ。ひと昔前はSR500やSRX600といったビッグシングルのラインナップもあったが、それももう90年代のこと。現代においてキャバレロシリーズようなビックシングルらしい、エンジンの燃焼がダイレクトに味わえるようなモデルは他にない。

しかも、このキャバレロシリーズに搭載される449cc単気筒のエンジンは、最高出力が40HP/7500rpmで、最大トルクが43Nm/6000rpm。最高出力と最大トルクともに、割と低めの回転数で発揮する中低回転域重視の仕様となっている。常用域でスロットルを開ければ、地面を蹴り上げて進むような加速が存分に楽しめるのだ。

ワインディングでは腰をしっかり落としたリーンインでのコーナリングもやりやすい。これ1台で色々な走りが楽しめるのもキャバレロスクランブラー500の特徴だ。

この鼓動感が強めのエンジンキャラクターのおかげでワインディングの走りがとても楽しい。ビッグシングルらしい強烈なトルクに強めのエンジンブレーキのおかげで、走りにものすごくメリハリを効かせられる。

また巡航走行も飽きることがない。このビッグシングルの鼓動感のおかげで高速道路を使って遠くへ行くような走りも実に楽しい。ちょっとした加速や追い越しでも、粒感の際立った鼓動感が味わえて飽きることがないのだ。

バイクらしいエンジンの鼓動を感じたいなら、ファンティックのキャバレロスクランブラー500ほど最適なモデルもないというわけだ。

ビックシングルらしい強烈な鼓動感が楽しめる449ccの水冷4ストSOHC並列単気筒エンジン。今回の試乗モデルはスクランブラー500だが、124.45cc0のスクランブラー125(990,000円)もある。

エキゾーストパイプをサイド回しとするも、エンジン前方で管長をしっかりかせいでいる。おかげで中低速のトルクがアップし、ビッグシングルらしい歯切れのいい鼓動が楽しめる。

燃料はハイオク指定でタンク容量は12ℓ。実走の燃費は約15km/ℓで、ワンタンクでの航続距離200km弱といったところ。

クラシカルなタックロール風のデザインが施されたシートは前後一体型。フラットで体重移動もしやすいうえにタンク後端まで座面が伸びているのでオフロード走行もしやすい。

ゼッケン風のサイドカバーはビンテージオフロードのレーサーイメージだがもちろん二人乗りも可能でグラブバーも備えている。

フェンダー&ライセンスプレートホルダーはスリムだが意外に実用的でドロ跳ねも少ない。タイヤはピレリのスコーピオントレールSTR。## キャバレロスクランブラー500はもちろんオフロード走行も得意!

ビッグシングルの溢れるパワーはスロットルコントロール一つでスライドも可能。

ファンティックのキャバレロスクランブラーのすごいところは、単なるスタイルだけで見掛け倒しの“ビンテージオフロード風”バイクではないってところだ。

近年のスクランブラーブームで似たような“ビンテージオフロード風”のマシンはたくさんあるものの、本格的なダート走行性能に拘ったモデルはあまりない。ファンティックはかつてモトクロスやトライアルといったオフロード部門の競技にも盛んだったメーカーであり、生半可なバイクは出せないということだろう。

カジュアルなウエアの似合うスクランブラースタイルは見かけ倒しではなく、しっかりオフロード走行もできてしまうのだ。

しっかりオフロードバイクとして作られているのでスタンディングもしやすく、コントロールしやすい。暴れるマシンを押さえ込むような走りが実にスクランブラーらしい。

しかも、フロント21インチサイズのトレールバイクとも、最近流行りのアドベンチャーモデルとも違う独特なオフロード走行ができるのが面白い。

車体はアドベンチャーバイクほど重くはないものの、トレールバイクよりがフレーム周りの剛性は高め。そこに449cc単気筒のエンジンの強烈なトルクが組み合わせたことで、スロットル操作一つで路面をかきむしりながら前へ進むような迫力あるダート走行が楽しめる。

世の中にある見掛け倒しのスクランブラーモデルとは違い、キャバレロスクランブラー500は、きちんと“ダートを楽しめる”スクランブラーに仕上がっている。

スタイリングはビンテージオフロード風のスクランブラースタイルながら、日本のダート林道くらいならなんなく走れてしまうキャバレロスクランブラー500は、オンロードもオフロードも楽しめる真のスクランブラーといっていいだろう。

大径フロント19インチのスポークホイールにΦ41㎜倒立フォークを組み合わせ、ストロークはスクランブラー属としては十分といえる150㎜を確保。

Φ320mmのディスクローターにバイブレ製ラジアルマスターシリンダーをセット。ABSは2チェンネルタイプで機能カットも可能。

サイドアップタイプのアロー社製サイレンサーはスクランブラースタイルの定番。材質はステンレスで歯切れのいいサウンドが楽しめる。

820㎜のワイド&テーパー形状のハンドルは剛性感が高く、外乱が多いオフロード走行でもしっかり車体を抑え込めるようになっている。上級仕様のデラックスには、専用カラーリングのほかハンドルブレースが取り付けられる。

当然ながらセルスターターを装備。スターターボタンの横にあるのはABSキャセルボタンは、停止中に長押しするとリヤのABS介入をキャンセルできる。

フットペグは普段はラバーパッドで靴底のダメージを軽減する一方、取り外せば即食いつきのいいオフロード仕様となる。チェンジペダルも転倒で破損しにくい可倒式だ。

転倒時の破損を軽減可能で、スタンディング時にミラーが腕に当たらなくなる可倒式のミラーを採用。グリップはしっかり握れて操作性能いいドミノ製。

スイングアームはスチール製でホイールトラベルは150㎜を確保している。リヤショックはリンク式でプリロード調整も可能。純正オプションでオーリンズ製のサスペンションも用意されている。## キャバレロスクランブラー500の足つき性

シート高820㎜とスクランブラー属としてはやや高めでサイド回しのエキゾーストパイプのため車幅はそれなりにあるが、単気筒のスリムな車体のおかげで身長:172cm 75kgの筆者の体格だと踵が数cm浮く程度。上半身のポジションもアップライトで普段使いからツーリングまで使いやすく、膝の曲がりもキツくない。

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