「無駄口内閣」と批判も 岸田内閣閣僚発言が物議

岸田文雄首相(資料写真)

 野村哲郎農相が東京電力福島第1原子力発電所の処理水を「汚染水」と呼ぶなど、岸田文雄内閣の閣僚発言が物議を醸している。「国民感情を逆なで」(立憲民主党議員)しているとの批判が与野党から起き、官僚の間では太平洋戦争中のインパール作戦を指揮した牟田口廉也中将を引き合いに出して「無駄口内閣」とのやゆも聞かれ始めた。

 農相発言を巡っては、松野博一官房長官が1日の定例会見で「言い間違いとはいえ発言は遺憾。緊張感を持って水産事業者に寄り添い対策に万全を期してもらいたい」と苦言を呈した。岸田首相も前日に「野村大臣に対して全面的に謝罪するとともに撤回するよう指示を出した」と表明するなど火消しに躍起になった。

 農相は中国が日本産水産物を全面輸入停止すると表明した際には「大変驚いた。全く想定していなかった」とも発言した。自民政務調査会幹部によると、同党外交部会では「政府の準備不足を露呈し、中国を利するものだ」との批判が噴出。松野長官が中国への対応を語る際に「適切に反論」と「適切」を付言したことも「弱腰な無駄口」として不評を買っているという。

 また、ガソリン平均小売価格が一定水準を超えた場合に税を軽減する「トリガー条項」を巡り、発動見送りを表明した鈴木俊一財務相の「買い控えが起きる」との説明も問題視されている。郡部選出の与党議員には、選挙区内の住民から「車を使わなければ出勤できないのに買い控えなんかできない。会社を休めということか」などの批判が寄せられているという。

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