らんまん第22週振りかえり・オーギョーチ

草花をこよなく愛する主人公が、やがて植物学者となって激動の時代を天真爛漫に駆け抜けていく姿を描く連続テレビ小説『らんまん』(NHK朝ドラ)。9月2日は、「オーギョーチ」と題する第22週(8月24日〜9月1日放送)を振りかえる。

ある植物を手に、少女へ笑いかける万太郎(神木隆之介)(C)NHK

主人公・万太郎(神木隆之介)は、東京大学の徳永教授(田中哲司)から植物分類学の助手として正式に迎えられることとなる。7年ぶりに大学の植物学教室に戻ってきた万太郎だったが、教室の内情が変わっていることに次第に気付く。

ドイツ留学で世界における日本の植物学レベルの現状を知ったという徳永は「標本では世界に勝てない」と語り、肉眼では捉えられない顕微鏡での研究を目指していた。徳永から教室内の標本を充実させることだけを命じられた万太郎は、それは自分にとってはありがたい仕事ではあるが、徳永の変わりように複雑な思いを抱く。

教授となった徳永(右、田中哲司)に助手として迎えられた万太郎(左、神木隆之介)(C)NHK

さらに助教授となった大窪(今野浩喜)からも、万太郎のように植物採取のために地べたを這いずる研究はすでに古いと伝え、助手になるのは辞めるように忠告される。大窪自身も、時代の流れには勝てずクビを宣告されてしまったのだった。

植物学教室で費やした時間を「何年無駄にしちまったんだ」と自嘲する大窪だが、かつて共同研究をした万太郎は「無駄なんかじゃありません」と強く語る。ともに研究に励んだ日々を思い出した大窪は、「せいぜい勘違いしてろや。バ~カ」と愛のある言葉を言い残し、大学を去っていくのだった。

大窪が大学を去った翌年、最新の植物生理学を学んでドイツから帰国した細田(渋谷謙人)がかわって助教授に就任する。そんなある日、植物学教室に陸軍大佐の恩田(近藤公園)と、植物学者の里中(いとうせいこう)がやってくる。

細田に呼ばれた万太郎が徳永のもとへ向かうと、徳永から「台湾に学術調査団が派遣されることになった」「植物学からは、槙野、おまえを派遣したい」と告げられる。里中や実業家の岩﨑(皆川猿時)からの推薦で、万太郎は台湾への学術研究員に任命されるのだった。

万太郎(神木隆之介)の話を聞く寿恵子(神木隆之介)(C)NHK

出張に向けて、陸軍大佐の恩田(近藤公園)から護衛用にピストルの購入を命じられるが、万太郎は納得できずにいた。その話を聞いた妻・寿恵子(浜辺美波)は、万太郎の身を案じながらも台湾行きを認め、ピストルの代わりに『日本植物志図譜』をお守りに持たせて見送る。

学術研究員として台湾に渡った万太郎は、案内人の陳志明(朝井大智)と出会う。しかし、滞在先での植物採取中に体調が急変してしまう。高熱を出して苦しむ万太郎を介抱する陳だったが、その際に万太郎の荷物から『日本植物志図譜』を見つける。

一方の日本では、万太郎が台湾に旅立ったあと、見たことのない青年が長屋を訪ねてくる。その青年は、万太郎の書生となるために高知・土佐から上京してきた虎鉄(濱田龍臣)だった。差配人のりん(安藤玉恵)から空き部屋を紹介してもらい、虎鉄も同じ長屋に住むことになる。

それから3カ月後、日本へと戻った万太郎は、寿恵子たち家族や、成長した虎鉄との再会を喜ぶ。万太郎は、台湾のお土産「オーギョーチ」で作ったゼリー状の食べ物を家族や虎鉄に振る舞いながら、「台湾の人らあと、この植物に命を救うてもろうたがじゃ」と台湾で起こった出来事を話し始めて・・・。

本作は、「日本の植物学の父」と謳われる牧野富太郎(まきのとみたろう)の人生をモデルに、植物と情熱的に向き合い続ける植物学者とその妻の波乱万丈な生涯の物語。放送は、NHK総合で朝8時から、またBSプレミアム・BS4Kでは朝7時半からスタート。土曜日はその週の振りかえり。

© 株式会社京阪神エルマガジン社