がん、脳卒中の最新知見 東根で山新健康フォーラム

がんや脳卒中の予防方法、先端医療の最新情報などについて理解を深めた山新健康フォーラム=東根市・さくらんぼタントクルセンター

 山新健康フォーラム(主催・山形新聞、山形放送、共催・東根市、協賛・日新製薬)が1日、東根市のさくらんぼタントクルセンターで開かれた。医学界の権威による講演を通じ、市民ら約200人が最新のがん治療や脳卒中の予防法などについて理解を深めた。

 主催者を代表し、寒河江浩二山形新聞会長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)は「生活習慣病を克服する上で大切なのは正しい知識を身に付け、暮らしの中で予防と早期発見、早期治療に結びつけることだ。フォーラムが明るく豊かな山形県づくりの一助となることを祈念する」とあいさつした。佐藤秀之山形新聞社長、板垣正義山形放送社長も出席した。

 来賓の芦野耕司東根市副市長、中目千之(なかのめちゆき)県医師会長は「最新の知見に触れ、自身や家族の健康について改めて考えるきっかけにしてほしい」などと述べた。

 講師は、国立がん研究センター理事長・総長の中釜斉(なかがまひとし)氏、同センター名誉総長の嘉山孝正氏、日本学士院会員で高松宮妃癌(がん)研究基金理事長の関谷剛男(たかお)氏が務めた。

 中釜氏は「がんは日本人の2人に1人がかかる、身の回りに普通にある病気」とし、早期発見の重要性を強調した。治療薬の進歩などで、がん患者の5年生存率が64%にまで改善されたことを紹介。最新の治療法として、ゲノム医療や免疫療法についても解説した。

 嘉山氏は、健康寿命を延伸する上で脳卒中の予防が重要になると指摘した。日本が世界に先駆けて取り組み始めた脳ドックの有効性などを挙げた上で、「脳卒中の要因は、年齢以外全て生活習慣に関係する。自らの行動で、健康寿命は延伸できる」と述べた。

 関谷氏は、がんとDNAとの関連性を解説した。人間は日常生活の中でさまざまな発がん物質にさらされているとし「がんは異常増殖する細胞集団の集合で、発生は避けられない。細胞が変異する早期の段階で発見し、治療を始めることが重要だ」と語った。

 フォーラムは、健やかな長寿社会の実現を目指して1993年から開催している。講演内容は9日付本紙で詳報する。

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