今別町、一部転換容認 津軽二股─三厩 バス・タクシー運行 津軽線存廃

津軽線の一部復旧案とともに浮上した津軽二股駅。奥は北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅=1日午後

 昨年8月の大雨被害の影響で運休が続き、存廃協議が進められているJR津軽線・蟹田-三厩間(28.8キロ)について、沿線自治体の青森県今別町は1日、全区間の復旧が難しい場合は、蟹田-津軽二股間(19.6キロ)を鉄路、津軽二股-三厩間をバス、乗り合いタクシーで運行する新たな方式の代替交通を提案した。JR東日本が全区間でのバス、タクシーへの転換を提案する中、同町は鉄路復旧を主張してきたが、多額の復旧、維持費用がかかることなどを考慮して一部区間の転換を容認した。

 同日、外ケ浜町役場で開かれた存廃協議の会議で、今別町が説明した。

 津軽二股駅(今別町)は北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅と隣接している上、中泊町方面に向かう乗り合いタクシーの発着場所であるため、津軽二股駅までは鉄路を運行するべきと主張。蟹田-津軽二股間に位置する小国峠はカーブや坂道が多く、バスに転換した場合、冬場の定時運行や安全性に不安があることも同区間の鉄路維持の理由に挙げた。

 一方、全区間の復旧に約6億円、復旧後の路線維持に年間約6億円かかることから、残りの区間はバス、タクシーへの転換を受け入れるとした。経路はJR東がこれまで提案してきた内容と同様で、三厩駅以北の竜飛崎周辺まで延長する。

 今別町の太田和泉総務企画課長は取材に対し、JRの全額負担による蟹田-三厩間の鉄路復旧が大前提とした上で、「(全区間での)復旧が難しく、津軽二股駅から竜飛方面までをバス、タクシーの自動車交通にすることで維持経費が削減されるのであれば、転換でもいい」と述べた。

 津軽線の被災箇所は計13カ所で、このうち大平-津軽二股間が12カ所。津軽二股駅まで鉄路を維持した場合、復旧費用の軽減幅が小さいとみられ、外ケ浜町の登坂光春総務課長は「世界遺産の大平山元遺跡に近い大平駅(外ケ浜町)を終点にすることも考えられる」と指摘した。

 JR東はこれまでの協議で、費用面や利便性の観点から蟹田-三厩全区間でのバス、タクシーへの転換が望ましいとの意向を示してきた。今別町の意見を踏まえ、鉄道とバス、タクシーを併用した場合の費用などを確認し、次回の会議で協議を進める方針。

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