朝鮮人虐殺記録は見当たらない、事実と乖離発言

 松野博一官房長官が関東大震災直後に朝鮮人へのデマにより起きた「朝鮮人虐殺事件」について、30日の記者会見で「政府として調査した限り、政府内で事実関係を把握することのできる記録が見当たらない」などとしたことに、日本共産党の宮本徹衆院議員が31日、「X」で「松野さん、内閣府の防災のHPに、朝鮮人虐殺の記録のある報告書が掲載されてますよ」と発言が事実に反していることを発信した。

 宮本氏指摘通り、内閣府・中央防災会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会」が2009年3月にまとめた報告書(1923関東大震災第2編)の第4章に「関東大震災時には横浜などで略奪事件が生じたほか、朝鮮人が武装蜂起し、あるいは放火するといった流言を背景に、住民の自警団や軍隊、警察の一部による殺傷事件が生じた。(震災は9月1日に発生)3日までは軍隊や警察も流言に巻き込まれ、また増幅した」と記し、「殺傷事件の概要」では(1)朝鮮人への迫害として、詳しく事例を記録。

 一例では「軍や警察の公的記録では作業量が大きかった朝鮮人の保護、収容が強調されるが、特に3日までは軍や警察による朝鮮人殺傷が発生していたことが東京都公文書館所蔵の『関東戒厳司令部詳報』の『震災警備ノ為兵器ヲ使用セル一覧表』(『関東大震災政府陸海軍関係史料』第二巻に翻刻、同館の協力により個人名を抹消した電子複写を閲覧して校合した)から確認できる。戒厳司令部が陸軍各部隊からの報告に基づいて作成したこの史料では、軍隊の歩哨や護送兵の任務遂行上のやむを得ない処置として11件53名の朝鮮人殺害が記録されている」など、諸々列記されている。

 1973年に建立された東京都墨田区の横網町公園にある碑には「誤った策動と流言飛語のため、6千余名にのぼる朝鮮人が尊い生命を奪われた」と記されている。

 ネット上では「松野官房長官さん、ではこの内閣府のこのページは何ですかね?平気で嘘つく人間が官房長官とは…この国の信用は無いに等しいですね。(仮に明日ぐらいに消しても遅いですよ?)」との批判も。(編集担当:森高龍二)

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