哀調おわら復活 八尾で「風の盆」開幕

石畳の通りで情緒豊かなおわらを披露する担い手=1日午後9時20分、富山市八尾町諏訪町

  ●4年ぶり本格開催/優美な舞に酔いしれ

 立春から二百十日に五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈る「越中八尾おわら風の盆」は1日、富山市八尾町中心部で開幕した。昨年に続き規模を縮小したものの、新型コロナウイルス対策による行動制限はなくし、4年ぶりの本格実施となった。富山に秋の訪れを告げる哀調を帯びた唄と音色、編み笠(がさ)姿の踊り手による優雅な舞が、路上を埋める大勢の見物客を魅了した。

 おわらを継承する11町では夕方から町流しや輪踊りが始まり、路上に繰り出した浴衣や法被姿の男女が地方衆の三味線や胡弓(こきゅう)、伸びやかな唄に合わせて舞った。「坂のまち」のあちこちに設けられたぼんぼりがともると、力強い男踊りとあでやかな女踊りが一層際立ち、見物客が「おわら情緒」に酔いしれた。

  ●初日は6万人

 おわら風の盆行事運営委員会によると、初日の来場者数は6万人で、昨年の3万人から倍増した。

 2020、21年は新型コロナの影響で中止を余儀なくされた。昨年は一部の行事を中止し、マスク着用を呼び掛け、一般駐車場を設けないなど「小さなおわら」を掲げて実施した。今年は昨年同様、前夜祭と競演会を取りやめ、町流しの時間を短縮した。

 風の盆は江戸中期から続くとされる。毎年9月1~3日に行われ、コロナ前は期間中、県内外から20万人前後が詰め掛けていた。

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