【台風情報】台風12号は発達せず熱帯低気圧へ 別の熱帯低気圧が発生予想で台風13号の可能性は? カギ握る“上空の寒気伴う低気圧” 

台風12号は3日にも熱帯低気圧へ さほど発達しない理由は

日本の南東方向から北上している台風12号。台風になってからもあまり発達せずに4日までには熱帯低気圧となる見込みです。比較的海面水温は高いエリアを進んきましたが発達しませんでした。

台風が発達するかどうかは海面水温だけで決まるわけではありません。台風の発達を妨げる条件としては以下のようなものがあります。

▶鉛直シアが大きい(=高度によって風の向きや強さの違いが大きい) ▶かなり上空(高度15km前後)に暖かい空気が存在する ▶台風自身の壁雲の入れ替わり

こちらは2日朝の気象衛星ひまわりによる水蒸気画像です。水蒸気画像は大気の中~上層の水蒸気量を示したもので、水蒸気量が多くて湿っているほど白く映ります。暖かく湿った空気を大量にもっている台風はひときわ白く映っているのがわかります。

一方、台風12号の西側には黒っぽくなっていて上空が乾燥しているエリアがあります。ここには上層寒冷低気圧という、上空の高い所にある寒気を伴った低気圧が存在しています。この低気圧の存在が台風12号の発達を抑えている大きな要因の一つとみられます。

この上層寒冷低気圧は地上付近の天気図には表示されていませんが、上空高い所を示す高層天気図をみるとその存在が確認できます。周辺よりも冷たい空気が存在しています。

この低気圧周辺の風によって台風12号周辺の風の流れが乱されることで、海面付近と上空との風の向きや強さの違いが生まれて、鉛直シアが大きくなります。

鉛直シアが大きくなると台風の下層から上層までの対称的な形を崩してしまい台風の渦が弱まることで発達が抑えれます。

これまで台風12号はこの上層寒冷低気圧の影響を受けてきました。12号はこのあとも低気圧の北側を西へと進んで行く予想ですが、4日ごろにかけても上層寒冷低気圧は西日本の南海上にある予想です。このため12号は影響を受け続けて発達できないまま日本の南岸に達する見込みです。

台風12号由来の暖かく湿った空気と上層寒冷低気圧の影響で大気の状態が非常に不安定となる可能性がありますのでご注意ください。

一方、衛星画像をみると3つの台風以外にも雲がまとまりつつあるエリアもみられます。新たな熱帯低気圧の発生も予想されています。

また、中国大陸の手前で足踏みする可能性がある台風11号や東シナ海で別の熱帯低気圧が発生する可能性もあります。さらに来週になると本州付近に秋雨前線の停滞すると予想されれいます。

いろんな要素が絡み合ってとても予想が難しい状況ですが、台風や熱帯低気圧と秋雨前線がコラボして本州でも大雨となるおそれもありますので、最新の気象情報を確認してください。

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