トリチウム 新技術で測定 茨城大 検査時間を大幅短縮

トリチウム濃度測定の準備をする茨城大大学院の鳥養祐二教授(左)=1日、水戸市文京

茨城大大学院理工学研究科の鳥養祐二教授(56)の研究室が、水産物に含まれるトリチウム濃度を1時間で測定する技術を開発した。水産物の安全性を確認し、処理水放出に伴う風評被害の抑制が狙い。検査期間を従来の1カ月半から大幅に短縮した。1日は福島県相馬市で水揚げされた魚介類のトリチウム量を調査。国が安全と定める基準を下回った。

トリチウムは自然に存在する物質で、海水にも水産物にも含まれる。これまでの検査では、魚介類を凍結させたり、真空状態にしたりする必要があり、検査終了までに時間と手間が必要だった。

鳥養教授らは電子レンジを活用する「マイクロ波加熱法」について実験を重ね、トリチウム検査に必要な魚の水分を迅速に抽出する新手法を確立。チャック付きの袋に魚を入れて電子レンジで加熱することで、測定に必要な水分を効率的に抽出できるようにして、検査終了までの時間を1時間に短縮した。

この日は、同大水戸キャンパス(水戸市文京)で、8月30日に水揚げされたホッキ貝やヒラメ、エイの3種類を検査。検出されたトリチウム濃度は、いずれも放出前の海水に含まれる量と比較して同程度だったため「放出の影響は見られない」と結論づけた。

鳥養教授は「迅速な検査で安全性を確認し、結果を示すことが重要。水揚げから店頭に並ぶまでの間に測定するために、福島県内でも測定できるように検討している」と話した。

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