タケノコの名産地、新たな推しは「竹炭パン」 姫路・太市 放置竹林の活用にも期待

生地に竹炭パウダーを練り込んで作ったメロンパン=姫路市書写

 タケノコの名産地、姫路市太市(おおいち)地区で、竹の活用に取り組む地元住民らが福祉事業所と協力し、竹炭を使ったパンを開発した。同地区では農家の担い手不足による放置竹林の発生が深刻化。関係者は「竹炭パンが太市の現状や魅力を広く知ってもらえるきっかけになれば」と期待する。

 同地区は鉄分を多く含んだ粘土質の土壌に恵まれ、江戸末期にタケノコ栽培が広まったとされる。しかし、近年、人口減少や少子高齢化による農家の担い手不足で放置竹林が発生。太市筍(たけのこ)組合の調査では、今後10年以上タケノコを出荷できると答えた組合員は全体の約1割だったという。

 そこで地元の里山を管理する石倉生産森林組合は、竹を活用して新たな産業を生み出すため、竹炭の製造を開始。竹炭を加工して消臭剤やせっけんなども販売している。

 今回の取り組みは太市の竹炭を広く周知させようと、市民団体「ひめじ里山農村地域サポート倶楽部(くらぶ)」が企画。同森林組合が竹炭パウダーを提供し、市内の障害福祉サービス事業所「書写ひまわりホーム」がパンの製造を担当した。

 竹炭パンは、同ホームが販売するメロンパンのクッキー生地と中に入れるカスタードクリームに、竹炭パウダーを練り込んで作った。見た目のインパクトとシャリシャリとした食感が特徴だ。同パウダーを使ったクッキーも製作した。

 同倶楽部代表の井垣守人さん(40)は「福祉事業所との連携で販路の拡大も期待できる。太市の魅力をPRしたい」と意気込む。

 パンは1個150円。クッキーは1袋(約50グラム)250円。ヤマダストアー新辻井店とJA兵庫西の農産物直売所「旬彩蔵 書写」などで販売している。書写ひまわりホームTEL079.268.0825 (三島大一郎)

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