何とか、雨が欲しい 県内で水不足の影響、じわじわ

雨が降らず底部が露出している数河溜池=酒田市

 まとまった雨が降っていない県内各地で、水不足の影響が、じわじわと表れている。特に庄内が顕著で酒田市や遊佐町の一部水田では稲刈りまでの品質を保つため、もう少しの間、水が必要だが、主水源の川の水位が下がり、主要なため池も底をついた。水力発電のダムなどでも庄内を中心に水位低下の影響で発電をストップ。各関係者は「一日も早く、適量の雨が降ることを祈るしかない」と空を見上げている。

 酒田市と遊佐町の水田5568ヘクタールの配水管理を担う日向川土地改良区(同市)では、8月上旬ごろから、主水源の日向川と荒瀬川の水位が下がり、6割程度の取水量となったことから三つの主要なため池から河川への放流を始めたという。

 まとまった雨を期待したが、晴れの日は続き、先月31日時点で日向川水系の数河(すごう)溜(ため)池(貯水量45万7千トン)は貯水量ゼロ。荒瀬川水系の五台溜池(同19万2千トン)の水も尽きた。同水系の堂見沢溜池(同30万トン)は貯水量が20%を下回っている。

 目下、農家の協力で奇数日と偶数日に分けて、それぞれの田に水を配分する体制を組んでいる。例年にない暑さが影響し、土が乾燥することでの品質低下を防ぐため、適度に湿らせる必要があるからだ。同改良区の担当者は「限られた水を公平に使うため、ルールを徹底してもらうよう呼びかけていく。それにしても雨が欲しい」と話した。

 一方、鶴岡市の笹川土地改良区でも藤島川や今野川の主要2河川の水位が下がり、7月下旬からため池の放流を始めた。現時点で10カ所あるため池のうち、7カ所が貯水率ゼロとなったが、揚水機で下流から上流に水を供給するなどして対応している。多くの水が必要な時期は「あと2、3日程度」といい「何とか持ちそうだ」と同改良区の担当者は語った。

 水不足の影響は内陸でも生じている。天童市のJAてんどうによると、同市内ではサクランボの樹木や葉に生気のないものが見られるといい、同JAの担当者は「成長して来季に実となる花芽の状態が心配だ。天童市内に限った話ではないだろう」と述べた。

 生産者にはかん水を呼びかけているが、人の手で水をかけるのには限界があるという。最上地域でも沢水を引いている田んぼでは、稲の葉先が枯れ、実の生育に影響が出ている。

 一部飲料水の供給にも水不足の弊害が忍び寄っている。小国町では、白沼簡易水道(給水69戸、149人)の貯水池の水位が、通常時の20%ほどの約60センチとなっている。通常通り水道は使えるが、水の勢いが弱い世帯などのために、2日午前9時から、同町沼沢のラーメン店「麺屋 雪国」前に給水タンクを設置することを決めた。町はチラシを配布し、節水を呼びかけている。

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