エス(えす)

「エス」の意味

「エス」(えす)とは、女性同士の同性愛を表すジャンルのひとつとして広く認知されている「百合」というジャンルの中で使われる用語。「シスターフッド(Sisterhood)」の頭文字からきており、女性同士の上級生と下級生が擬似姉妹的な関係性を結び、友愛を育む。学園物語や女子スポーツなどの作品で描かれる。

百合」は、一般的には、漫画や小説などの娯楽作品で用いられることが多く、美少女が登場し、その間に織り成される恋愛模様が描かれる。純愛的な展開の作品が目立つが、時には性的な描写を含むことがある。この言葉の語源は、花の「百合」に由来する。百合の花言葉には、「純粋な愛」や「純真さ」といった意味があり、これが百合作品における「同性愛」を描くテーマと結びついたとされている。

「エス」は、百合作品に通じるファン界隈にしか通じない専門用語であるため、一般的な会話で使われることには適していない。また、百合を知らない人にとっては理解されずらい、百合作品に対して偏見を持っている人もいて誤解されることもあるため、用いる際には注意が必要である。

ちなみに、「GL/百合」は女性同士の恋愛を扱ったジャンルであり、「BL/やおい」は、男性同士の恋愛を扱ったジャンルである。共に、日本の同人誌文化から発展したジャンルであり、女性ファンの支持が非常に強く、多くの作品が出版されるほどの人気を誇っている。

「エス」の由来・語源

少女同士の絆や恋愛を描いた文学は大正時代には存在し、sisterの頭文字を取った「エス」は他の隠語を抑えて一般化した。その後、百合作品は1970年代後半から1980年代にかけて大きなブームとなった、という見方がある。この時期には、多くの百合作品が生まれたが、とくに今野緒雪によるライトノベル『マリア様がみてる』は百合作品に絶大な影響を与えた作品として、多くの百合ファンの人気を獲得している、とされる。

「エス」を特徴とする百合作品には、以下のような共通項があるという意見がある。

・しばしば強い意志や支配欲、プライドの高さを持っているキャラクターが登場する。

・上記に対して、弱い立場、支配される立場にあるキャラクターが登場する。

・登場人物たちの関係性が、しばしば上下関係として描かれる。性的描写を含むことも、含まないこともある。例えば、片方が相手を自分の意のままにすることを望み、もう片方がそれに従うことで関係が築かれる場合が多い。

ちなみに、百合ブームは海外にも及んでいる。海外にて、日本の百合作品が翻訳されたり、海外の百合作品が出版されるなど、ファンを増やしつつ、世界的なジャンルとして認知されるようになってきている。特に、アメリカ合衆国では「yuri」という言葉が使われており、日本語の「百合」をカタカナ表記したもので、同性愛を描く作品を指す言葉として使用されている。日本国内外で、同性愛に対する理解や受容が進んでおり、百合作品を楽しむ人々が増えているとされている。ただし、「エス」は、日本独自の用語であるため、海外ではあまり知られていない。

「エス」の活用例

「最近、面白い百合マンガを読んだんだよね。私が好きなエスで、熱いんだ」
「やっぱり百合はエスだよね」

百合(ゆり)

百合ップル(ゆりっぷる)

薔薇(ばら)

BL/ボーイズラブ(びーえる/ぼーいずらぶ)

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