基準値5倍超のヒ素検出…埼玉県警、「全国初」の施設建設地 近隣での人体被害報告なし、検出の土は処分へ

埼玉県警察本部=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県警施設課は1日、県警が旧県立小児医療センター跡地(さいたま市岩槻区馬込)に昨年度から建設を進めている高齢ドライバー講習専用施設建設地の土壌から、環境基準を上回るヒ素が検出されたことを明らかにした。同課によると、過去に近隣住民で人体被害の報告はなく、今後も健康被害はない見込みという。

 雨水貯留槽設置工事で発生した土の処分に伴い、土壌環境測定を実施したところ、土壌溶出調査では基準値(0.01ミリグラム以下)の最大5.1倍となる0.01~0.051ミリグラムが検出されたという。検出されたのは病院の外来駐車場で、アスファルト舗装されていた場所だった。今後舗装し講習施設でも駐車場(329台分)として使用する予定。

 基準値を上回るヒ素が含まれる土はトラックで運び、専用の処分施設で適切に処分する。また同日の公表と並行し近隣農家など20カ所に戸別訪問して状況を説明している。

 同課によると、2018年5~8月に病院局解体工事の際に実施した土壌調査では全292地点中12地点から基準値の最大7.2倍のヒ素が検出されていた。当時は市に報告し、市が公表した。

 高齢者講習施設の開所は当初予定と変わらず来年5月。駐車場の工事は7カ月遅れて10月末に終了見込みで、その間は駐車場を仮設し、200台分を確保するとしている。

 同施設は高齢ドライバーの増加に伴い、高齢者講習などの受講待ち日数のさらなる増加が見込まれることから、運転免許更新時の講習や認知機能検査に特化。当初の総事業費は約64億円で、県警が運営する専用施設は全国初。

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