「追い込まれていた」石川遼 難関上がり2バーディで逆転V圏

久しぶりのサンバイザーは「気分で」(撮影/大澤進二)

◇国内男子◇フジサンケイクラシック 3日目(2日)◇富士桜CC(山梨)◇7424yd(パー70)◇晴れ(観衆1263人)

石川遼は9ホール全てパーが並んだ前半を「自分の流れではないなという感じで、淡々とやっていた」と振り返る。林に打ち込んだ6番(パー5)はバンカー越えのラフから厄介なアプローチを寄せてナイスセーブ。続く7番(パー3)は池に近い左手前のピンに距離感を合わせながら、5mのきついフックラインが決まらない。8番(パー5)も1.5mのバーディパットが思った以上に曲がってカップをそれた。

苦しくても淡々とプレー(撮影/大澤進二)

「すごく流れがいい時は入ったりするパットを、2つ入れることができなかった」。自分に“風”が吹いていないことを実感しつつ、やるべきことに集中。テンションを上下させずに終盤を迎えたから、難関の上がり4ホールを前に余力が残っていたのかもしれない。

この日最も難しいホールだった216yd設定の16番(パー3)。6Iを握った納得のショットでも8mを残すのは織り込み済み。「パットに賭けるしかなかった。打つ前から、ラインのイメージはできていました」と確信たっぷりに流し込んだ。ラフにつかまった17番もアプローチでしのぎ、難度5番目の18番も3W→48度のウェッジとつないで3.5mを決めきるバーディで締めくくった。

史上初の富士桜3勝目へ(撮影/大澤進二)

タフなホールが並ぶ終盤に伸ばすのは、アウトインを入れ替えたことしの富士桜ではなかなか想定しづらいゲームプランだ。「きょうは“これ”を引き出すしかなかった。結構、追い込まれている状況ではあったかな」。3番目に難しい15番でラフを渡り歩きながら「泥くさく」拾ったパーを含め、粘りに粘ってチャンスを待った結果の「69」。疲労感はたっぷりでも、充実感がにじむ。

パー3で随所に好ショットを披露(撮影/大澤進二)

トップにいるのはただ一人、3日間60台をそろえた金谷拓実。通算3アンダー3位から、賞金ランキング2位の強敵を相手に2ストローク差を追う。「残り9ホールで3打差とかだったら、追いかける側としても分からない。そこまで63ホールを回ってリードしている人はすごく調子がいいはず。それでも、『3打差だったらまだ…』っていうコースの難しさだと思う」。プレーオフを制した2010年大会を含め、過去の2勝はいずれも最終日を首位でスタートした。バックナインまで踏みとどまれれば、史上初の富士桜3勝目が見えてくる。(山梨県河口湖町/亀山泰宏)

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