伝統の舞、優美に 4年ぶり「おててこ舞」 稚児愛らしく境内に活気 根知山寺の延年

コロナ禍を越え、4年ぶりに「おててこ舞」を奉納。稚児4人と踊り大将4人が向かい合って優美に舞い、境内は活気にあふれた

糸魚川市根知地区・山寺の日吉神社秋季大祭が1日、同神社で行われた。「おててこ舞」の総称で知られる国の重要無形民俗文化財「根知山寺の延年」が、コロナ禍を越え4年ぶりに奉納され、境内は活気にあふれた。

おててこ舞は、五百有余年にわたって根知谷に伝わる伝統芸能。少子化による舞児の確保や継承が課題となる中、近隣集落などから協力を得て受け継いでいる。コロナ禍で3年間中止を余儀なくされたため、今年は再開に向け例年よりも舞の練習量を増やし、本番に備えてきた。

当日は「稚児行列」が金蔵院を出発。沿道の見物客に見守られながら歩みを進め、観音堂でみこし2基が加わって神社に向かった。境内に到着し、みこしのお走りを経て舞楽奉納に移った。青木孝至区長はあいさつで「4年ぶりの舞楽奉納。祭りに携わる全ての方々のご協力のたまもの」などと感謝を表し、「少しでも日常を取り戻す活気になれば」と願った。

舞楽は稚児舞を中心とする10曲のうち、「万才の舞」以外の曲を奉納。「おててこ舞」では稚児4人と踊り大将4人が向かい合い、歌と太鼓の音に合わせ優美に舞った。稚児2人が和鏡を持って舞台をかわいらしく跳ね回る「鏡の舞」なども見物客を楽しませた。

同市出身の友人と訪れたという東京都の男性(75)は「初めて見に来た。子どもたちの踊りが楽しい」と笑顔で話した。

前日の8月31日夜には宵宮が行われた。

沿道の見物客に見守られながら、日吉神社に向かう「稚児行列」

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