自然災害は誰にも止められないが、手助けは誰にでもできる 男性の信念

物資提供や特産品紹介を通じて被災地支援活動を続ける針貝奎輝ソフィアンさん

 関東大震災が起こった9月1日(1923年)や東日本大震災の3月11日(2011年)など、大災害が発生した節目の日には亡くなった人を追悼したり、あらためて防災の大切さをかみしめたりする。

 一方、復興の進展は年月がたつにつれて話題に上らなくなる。周りから気にかけられなくなることが「日常に戻る」ということだろう。だが、東日本大震災のような大災害では、原発事故のために人が住んでいない地域を訪ねると、まだまだ復興を気にかけていかなければならない思いにかられる。

 2016年4月の熊本地震で、被災者として出雲市内に避難した経験を持つ針貝奎輝(けいき)ソフィアンさん(22)は、被災地の復興支援のため、大学を休学して一般社団法人「自然災害復興エイド基金」(福岡市)を設立した。

 故郷である被災地・熊本の特産品を返礼品としたクラウドファンディングを展開している。収益を防災用品の購入といった被災地支援に充てるほか、洗顔用せっけんなどの商品開発を被災地企業と手がけ、地域の盛り上げに携わる。自然災害は誰にも止められないが、手助けは誰にでもできる-が信念。出雲にいた頃から思いは変わらない。

 被災地の人々に伴走し続けることは地味で、成果が多くの人に認知されるまでには時間がかかる。だが、商品開発などを通じて心ある人たちとつながっていくことは、新たな地方創生の物語を築く契機になる。

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