<レスリング>【2023年全日本学生選手権・特集】世界選手権出場を逃した悔しさをばねに、国際舞台へ挑む…女子65g級・吉武まひろ(日体大)

 

 昨年12月の全日本選手権と今年6月の明治杯全日本選抜選手権を制しながら、プレーオフに敗れて世界選手権代表を逃した女子65kg級の吉武まひろ(日体大)が、2023年全日本学生選手権では3試合を勝ち抜いて優勝。再起戦を飾った。

 「優勝できたことはうれしいのですが、内容が…。満足できないです」と吉武。決勝は大学の後輩(1年生)で、テクニカルフォール勝ちし、結果だけからすれば快勝だが、「ポイントの取り方が悪いです。(相手のタックル)を切ってバックに回ったりして自分からのアクションでないことが多かったし、自分から攻めたときも1点やったりとかで、反省することが多いです」と、厳しく振り返った。

▲決勝で大学の後輩を相手にテクニカルフォール勝ちした吉武まひろ(日体大)=撮影・保高幸子

 準決勝は、これまで何度か闘っている寺本鈴(山梨学院大)が相手。U23世界選手権代表に決まっている成長途上の選手で、4-2のスコアながら、しっかり勝って実力差を見せた。しかし、「明治杯決勝のときは、もっといい内容で勝っていた(7-0のポイント勝ち)。今回は自分の動きを封じ込められたという感じ。どんな対策をされても、自分からアタックしてポイントを取れるようでなければなりません」と、どこまでも反省の言葉が続いた。

プレーオフ敗戦で落ち込んだが、次第に「インカレでは絶対に勝つ」-

 強豪はオリンピック階級に出場したとはいえ、全日本の2大会を制して世界選手権代表を目前にしながら、その壁を破れなかったのは「本当に悔しかったです」とのこと。特に、本来は1階級下の尾﨑野乃香(慶大)にテクニカルフォール負けしたのは「落ち込みましたね」と悔しそう。

 すぐに立ち直ることはできなかったようだが、次第に「インカレでは絶対に勝つ、という気持ちができてきた。よかったです」と話した。内容はともかく、優勝できたという結果で、さらに気持ちの立ち直りがあったことは言うまでもないだろう。

▲世界選手権出場をかけたプレーオフは、尾﨑野乃香(青)の速攻の前になすすべもなく敗れてしまった=7月17日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンター

 昨年のU20世界選手権を制し、今年は2月に「ザグレブ・オープン」(クロアチア)で優勝し、4月のアジア選手権でも2位に入賞。シニアの国際舞台でも台頭してきた選手。今年の世界選手権出場を逃した悔しさを晴らすべく、来春の卒業後もレスリングを続けることを決めている。

 日本代表となって国際舞台で活躍するために必要と思うことを聞くと、「まず体調管理ですね…」との答。減量に苦しむことは少なくないし、今大会に際しては1週間くらい前に体調を崩してしまったそうで、「ふだんの生活から、きちんとしていかないとならないです」と話した。

来春、“アジア選手権銀メダルの返上”を目指す

 9月21日から始まる鹿児島国体は、女子が2階級(53kg級、62kg級)しかないこともあって、62kg級に挑む。「減量がありますけどね」と言いつつ、昨年はその62kg級に出て3位に入賞し、全日本チャンピオン、そしてシニアの国際大会への飛躍につなげた縁起のいい大会。減量に挑んで節制を心がけることで、私生活を正したいという気持ちがあるのだろう。

 技術的には、バックを取ってからのグラウンドで追加ポイントを取ることが以前よりできなくなっていることを感じており、テークダウンからグラウンドへつなげて大量ポイントを取る連携の復習を心がけたいと言う。

 「世界選手権に出る前に、今年2位だったアジア選手権ですね。日本で勝たないと、アジアにも行けません。まず全日本選手権ですね」と話し、巻き返しを誓っていた。

▲学生最後の年に学生チャンピオンへ輝いた吉武。さらなる飛躍を目指す

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