旧陸軍第17師団 建物配置図発見 現岡山大キャンパス 司令部詳細に

「旧陸軍第17師団」駐屯地の詳細な建物配置を示した図面(部分)。赤丸内が司令部で、その左側に兵舎が整然と並んでいることが確認できる

 明治から大正時代にかけて現在の岡山大津島キャンパス(岡山市北区津島中)に駐屯した「旧陸軍第17師団」の司令部や兵舎などの詳細な建物配置を記した図面が2日までに、同津島本町の妙善寺から見つかった。わが国の戦史史料を保管する防衛省防衛研究所(東京)も所蔵していない図面で、地元の研究者らは「駐屯地の全体像を具体的に知ることができる貴重な資料」とみている。

 配置図は、同寺が、所蔵資料の整理中に書庫から発見した。設計図などの複製に使われる「青焼き」で縦55センチ、横80センチ。制作者や年代は記載されていない。現在は大学本部棟がある敷地中央に2階建ての司令部があり、西側に歩兵や騎兵の兵舎、北側に大砲を扱う野砲兵、軍需品を輸送する輜重(しちょう)兵の兵舎などが置かれた。東側には兵器や弾薬を管理する「兵器支廠(ししょう)」が描かれている。

 第17師団は大正時代に廃止されたが、敷地は第2次世界大戦終戦まで旧陸軍の駐屯地として利用された。第17師団時代の資料は少なく「建物の規模や配置を精密に記した図面はなかった」と県立記録資料館。岡山大構内には今も司令部など一部建物が存続しており、戦争遺構を研究する野崎貴博・同大助教は「未確認の遺構を調査する上での大きな手がかりになる」と語る。

 同寺の井本宗園代表は「なぜ寺にあるのか分からず驚いた。地域の歴史を伝える資料として、専門機関に相談して保存していきたい」と話している。

 旧陸軍第17師団 日露戦争後の軍備拡張に伴い、1907(明治40)年に創設。岡山県史によると、市街地中心部の北に広がる広大な農地が駐屯地として使用され、歩兵連隊、騎兵連隊、野砲兵連隊、輜重兵大隊などが配備されたという。旧満州(現中国北東部)や中国、朝鮮半島などに出兵したほか、10年に明治天皇を迎えて岡山や総社、倉敷市で行われた大規模演習にも参加したが、第1次世界大戦後の軍縮により25(大正14)年に廃止された。

移設されて一部が残る旧陸軍第17師団司令部の建物=岡山大津島キャンパス

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