【日田】2017年の福岡・大分豪雨で生産地が被害を受けたことを契機に、災害リスクが少ない日田市内の平たん地に整備した「日田梨リース団地」で、今年から本格的な出荷が始まった。100年の歴史を持つ特産品「日田梨」の振興を図ろうと、若手生産者が生産に励んでいる。
市内の生産地は盆地の地形上、斜面に多くある。斜面は水はけがよく糖度が増すという利点の一方、大雨で崩壊したり、土砂が流入したりといった恐れがある。維持、管理にも労力を必要とし、生産者の負担は大きい。
豪雨後、JAおおいた日田梨部会が主体となり、「日田梨創造的復興プロジェクト」を立ち上げた。災害に強い将来を見据えた復興策を検討。頻発する災害リスクの低減、省力化を図るため、JAおおいた、国、県、市が入江、西の山、高尾原の3地区にある平たん地4.3ヘクタールを整備した。総事業費は約3億円。
生産者の初期負担を軽くするため、リース方式とし、平均年齢43歳の若手生産者10人が参入。20年度に栽培を始め、今年、全員が収穫期を迎えた。
8月28日、生産者が市役所などを訪れ、収穫と出荷を報告した。同部会生産部長の判田紀一さん(53)=市内夜明中町=が椋野美智子市長に梨を贈呈。「皆さんの支援をいただき、ありがとうございました。今年、10人が初収穫を迎えることができ、大変うれしく思っている」とあいさつした。
椋野市長は梨作りについて懇談した後、「皆さん、頑張ってください」と激励した。