愛犬の"痩せすぎ"に要注意!危険なサインと今すぐ簡単にチェックする方法

危険な体型は肥満だけではありません

私たち人間と同じように、犬の世界でも「肥満」が問題になっています。そのため、犬用のダイエットフードとして「低カロリー」の総合栄養食もたくさん売られています。

そのため愛犬の肥満対策に神経をとがらせている飼い主さんは多いですが、「痩せすぎ」については無頓着で、痩せ気味でも「健康だ」とか「犬らしい体型だ」と考えている方もおられるようです。

しかし痩せすぎてしまうと、成長や新陳代謝に必要なエネルギーが足りなくなり、発育の悪い小さな体格になったり、体力や筋力が衰えた犬になってしまいます。

また必要な栄養分が足りないために、免疫力や肝機能の低下などを引き起こし、感染症をはじめさまざまな病気への抵抗力が無くなったり、体内の毒素を無毒化できなくなったりしてしまいます。

つまり、痩せ過ぎも万病の元なのです。愛犬を健康に長生きさせたいのであれば、理想体型を維持することを心がけましょう。

痩せすぎている犬が見せる危険なサイン

「血糖値」という言葉を聞いたことがあると思います。血液の中に含まれているブドウ糖の量を示す値です。ブドウ糖は、全身の細胞が生きていくために必要とするエネルギー源になるもので、血液は全身の細胞にこのエネルギー源を届けるためにブドウ糖を運んでいるのです

血糖値には適正な範囲があり、それを超えてブドウ糖が多すぎると高血糖、少なすぎると低血糖となり、いずれも健康にさまざまなな悪影響を与えます。

痩せすぎの場合に注意すべきなのが、「低血糖」です。

低血糖になると、元気がなくなる、ぐったりする、思うように体を動かせなくなる、後ろ足が麻痺するといったような症状が見られます。そして状態が悪化すると、激しいけいれんを起こす、場合によっては命を落とすといった危険な状態にもなりかねません。

愛犬が最近痩せてきているなと気になっているときに、元気がない、ぐったりしているといった様子が見られた場合は危険なサインであると受け止めて、すぐに動物病院で診てもらいましょう。

低血糖症まではいかなくても、痩せてきた原因の中には病気が潜んでいる場合も多いです。食べられないのか、消化できないのか、食べているのに痩せてくるのかなどをしっかり把握し、動物病院で相談しましょう。

愛犬の痩せ過ぎをご自宅で簡単にチェックする方法とは

犬といってもさまざまな体型の犬種があり、ミックス犬もいます。そのため、犬の標準体重を定義することはできません。純血種の場合でも、標準体重を明示している登録団体は少なく、犬は体重ではなく「目視」と「触る」ことで体型を評価するのが一般的です。

犬の体型を評価する基準が、『BCS(ボディコンディションスコア)』です。

9段階と5段階の評価法がありますが、基本的には同じ基準なので、5段階のBCSで十分評価できます。犬は全身が被毛で覆われているため、目視と合わせて必ず体を触って確認することが大切です。

理想体型

BCSのチェックポイントは、脂肪の付き方、上から見た体型、横から見た体型の3点です。
犬の理想体型はBCS3で、チェックポイントは下記になります。

<BCS3:理想体型>

  • 全身に適度な脂肪が付いていて、肋骨を触れる
  • 上から見たときに、肋骨の後ろに腰のくびれが見える
  • 横から見たときに、腹部の吊り上がりが見える

「痩せすぎ」を確認する

痩せているという評価になるのはBCS1とBCS2で、BCS1だと「痩せすぎ」です。それぞれのチェックポイントとは下記になります。

<BCS2:やや痩せ>

  • 肋骨を簡単に触れる
  • 上から見ると腰のくびれがはっきり分かる
  • 横から見ると腹部の吊り上がりがはっきり分かる

<BCS1:痩せ>

  • 肋骨腰椎骨盤がはっきり見える状態で、触っても脂肪が分からない
  • 上から見ると腰のくびれが顕著である
  • 横から見ると腹部の吊り上がりが顕著である

このほか、肥満を示す指標もありますので、興味があればぜひ調べてみてください。

体重測定も大切

ご自宅でも簡単にできるBCSによる評価で、愛犬の体型の適切さがわかります。しかしそれだけではなく、体重変化の有無を確認することも大切です。

そのためには、定期的に体重測定をすることです。ご自宅での計測が難しい場合は、動物病院に行った際に計測してもらいましょう。計測した体重は必ず記録し、変動の有無や傾向をしっかりと把握することが大切です。

まとめ

犬が痩せてしまう原因はさまざまですが、「摂取するエネルギー量が消費するエネルギー量よりも少なすぎる」と痩せてきます。

エネルギー量のバランスをとるためには、愛犬の年齢や成長期、発情・妊娠・授乳期、高齢期などのライフステージによる調整も必要です。

「いつもこの食事をこの量食べているから」ではなく、体型チェックや体重の増減に応じて動物病院に相談しながら管理しましょう。

(獣医師監修:平松育子)

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