【漫画】ホームから転落した男性を救助した“売れないお笑い芸人” 人生激変はあるのか? 作者に聞く

お笑いコンビ「ナッシング」でツッコミを担当する千葉は、ある日駅のホームから落ちた会社員を救助する。死にかける経験をした千葉は、これまでくすぶり続けた芸人人生を振り返り、このまま夢を追いかけようと懸命にもがき続けるが……。浅井企画に所属する芸人のナターシャさん描く、半自伝的作品『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』。

お笑いトリオ「ニュークレープ」でリーダーを務めるナターシャさん(@newcrepe_nata)が描いた作品『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』は、読者から熱く支持されるだけではなく、売れっ子芸人たちからも称賛され、2022年のnote創作大賞作品優秀賞を受賞した。その人気はとどまることなく、今年の23年2月にはKADOKAWAより単行本も出版。

23年2月に出版された『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』(KADOKAWA)が好評発売中!

今回、この話題作が誕生するきっかけから、本作の読みどころ、そして今後の展望について、作者であるナターシャさんに話を聞いた。また、本記事に作品の前半を特別に掲載する。

クライマックスこそ、命がけで描いた

現在、月10本ほどのライブをはじめ、CMナレーションや絵の仕事などを手掛けるナターシャさん。本作を描くきっかけとなったのが、実際に経験した救助体験がもとになっている。

『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』-1

「2019年に、ホームから転落した男性を避難場所に引っ張り人命救助をしました。まさに、電車がホームに入ってくるところでした。その出来事以降、自分の人生観がガラリと変化し、その考えを記録しておこうと思い、漫画にしてみました。だけど、漫画にするにしてもエッセイにするのが恥ずかしくて、主人公や設定を少し変えて描いてみました」

『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』-2

もともと、学生時代からかなり独特な漫画を描くことが趣味だったというナターシャさん。そのときの創作内容について質問すると、「ドラゴンボールにハマっていたので、棒人間のバトル漫画を描いていました。全くわけがわかりませんが、もーれつア太郎も好きで、自分の漫画にニャロメとケムンパスが登場して、ドラゴンボールみたいに空を飛んだり、かめはめ波みたいな技を使って、敵と戦っていました」と、話を聞くだけでは想像するのが難しそうな作品を描いていたそうだ。

『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』-3

本作については、自身の芸人としての葛藤や人生観を各所に取り入れたリアリティある繊細な内容で、若手芸人ばかりではなく、今まさに仕事や人生について悩んでいる一般の読者からも大きな反響を得た。1話完結の9話構成の中で、特に力を入れて描いたのが最終話である9話目だと教えてくれた。

『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』-4

「最後の20ページくらいに描きたかったことの全てが詰まっていると思います。note創作大賞を受賞した時点ではクライマックスまで執筆はできていませんでしたが、プロットは既にありました。最後の最後にどうなるかは決めていたので、単行本化する際の加筆修正するときにあまり悩まず、物語を進めることはできたかなと思います。クライマックスを是非読んで欲しいです!」

『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』-5

今後の漫画家としての展望については、「(本作の)続きをオムニバス形式で発表したい」という思いと平行し、まったく異なるジャンルも模索していると話す。

『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』-6

「近未来だとか宇宙人だとか、そういうSFだったりファンタジーの要素と日常的なテーマを掛け合わせた話を描いてみたいですSFやファンタジーはもともと好きなので描きたいのですが、読む人が共感できる工夫が必要だなと思っています」

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売れない芸人の青春を力強い筆致で描いた作者が、次にSFジャンルでどのような共感を呼び起こしてくれるのか。期待したい。

<ナターシャさんInformation>
▶SNS /
https://linktr.ee/natashanewcrepe

▶単行本 /
https://onl.sc/qbT8Mj9

(よろず~ニュース特約・橋本未来)

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