統合病院、検討内容見直し 青森県側方針/場所、規模 課題多く 

統合新病院整備を検討している県立中央病院(上)と青森市民病院。県側が、検討内容を見直す方針を固めた

 県立中央病院(青森市東造道、684床)と青森市民病院(同市勝田、459床)の統合新病院整備を巡り、県と市が進めてきた基本構想・基本計画案の検討内容について、県側が全面的に見直す方針を固めたことが2日、複数の関係者への取材で分かった。立地場所や病床規模、医療連携などの各項目で、整備時に生じる課題への見通しが立たず、現状では将来を見据えた構想・計画の策定が困難と判断したとみられる。統合新病院の新築と共同経営の基本方針は維持しつつも、スケジュールや検討方法も含めて、今後見直し作業に着手する。

 共同経営・統合新病院整備への基本的な検討項目として、県と市は立地場所、病床規模、地域医療支援など9項目を挙げている。

 このうち立地場所は青森市内の県有地3カ所(旧青森商業高校・県病敷地エリア、青い森セントラルパーク、県総合運動公園)を検討対象地として示しているが、いずれも地震や津波、洪水などの災害発生時に被害を受けるリスクを抱える。3案を白紙にすることも含めて、検討し直すとみられる。

 このほかに県と市による内部の検討では▽「800~900床」と推計している新病院の病床数が人口減少の進む地域にとって適正規模かどうか▽青森地域保健医療圏を含む全県の地域医療を支援する体制に目配りができるか-などの課題を指摘する声が上がっているという。

 県病と市民病院は、慢性的な医療従事者不足、建物の老朽化対応、収益性向上など運営面での共通の問題を抱える。外部有識者らが両病院の将来像を検討する「あり方検討協議会」は2021年11月、両病院が個別に存続する道は難しい-として、「共同経営の上、統合病院を新築整備することが最も望ましい」とする提言を県と市に提出。22年2月に、三村申吾知事と小野寺晃彦青森市長=いずれも当時=が、両病院を統合した新病院の新築整備、共同経営の基本方針に合意した。

 同年8月には立地場所の検討対象地や、23年度中の基本構想・計画策定方針を公表。この時点から1年以上が経過しているが、整備に関する新たな具体的内容は示されていない。

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