【MLB】 新生ヤンキースがアストロズに2連勝 思い出される2016年の雰囲気

写真:新人として球団史上初の20-20を達成したボルピー

8月終了時点で負け越し、そして地区最下位に沈み、かつてないほど弱っているニューヨーク・ヤンキース。8月末にはエンゼルスら終戦したチームと同じように、今季でFAの主力ハリソン・ベイダーをウェーバーにかけ、事実上の白旗宣言をしていた。

そんな状態で迎えた因縁のアストロズとのシリーズは、敵地ヒューストンでの開催ということもあり、アストロズの勝ち越しが予想されていた。

ところが、である。ヤンキースが3連戦の2戦に先勝し、スウィープに王手をかけているのだ。

この原動力となっているのが若手選手たちだ。

現地2日のラインナップには、3番ジャッソン・ドミンゲス、5番アンソニー・ボルピー、6番オースティン・ウェルズ、7番エバーソン・ペレイラ、8番オズワルド・ペラザ、9番オズワルド・カブレラら、6人の24歳以下の選手が名を連ねた。

『YES Network』のジェームズ・スミスによれば、これは1969年9月11日以来のこと。ちなみにこの時のラインナップには後にルー・ゲーリック以来のキャプテンに任命され、若くして非業の事故死を遂げるサーマン・マンソンがいる。

この内、ドミンゲスとウェルズは9月1日の“セプテンバーコールアップ”に合わせてメジャー初昇格。既にプレーオフが厳しいヤンキースは明確に若手を中心に起用する路線へと舵を切っているのだ。

そして、若手選手たちもその起用に応えている。

1日のアストロズとのシリーズ初戦ではドミンゲスとウェルズが早速キャリア初ヒット。特にドミンゲスはジャスティン・バーランダーからキャリア初打席初本塁打を放ち、20歳206日での初試合初本塁打はヤンキースの選手としては史上最年少という快挙まで打ち立てた。

続く本日2日の試合では、24歳以下の若手6選手が打線の合計9安打のうち6安打を放って、アストロズ投手陣を攻略。5対4の勝利に貢献している。

ヤンキースのベテランたちも、かつてアーロン・ジャッジやゲリー・サンチェスが登場した2016年の雰囲気を思い出して、この若手たちの活躍に目を細めている。

『MLB.com』のヤンキース番記ブライアン・ホックによれば、かつては“ベイビー・ボンバーズ”と呼ばれた若手軍団の中心だったジャッジは「(ベイビー・ボンバーズよりも)彼らの方が優れている」と若手たちを称賛。「彼らの態度、フィールド上での振る舞いは、まるで一年中ここにいる選手のよう」とルーキーらしからぬ落ち着きに感嘆している。

思えば2016年、今年と同様に白旗を挙げ、デッドラインでアロルディス・チャップマンとアンドリュー・ミラーを放出したあのシーズンも、新人たちの大暴れでシーズン負け越しを免れた。そして翌2017年にはリーグ優勝決定シリーズまでカムバックしている。

今年の新生ヤンキースも、同様の復活劇を遂げることができるだろうか。

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