小型犬がかかりやすい病気3選!病院へ行くべき初期症状から対処法、予防対策まで

小型犬がかかりやすい病気

日本国内で純血種の犬籍登録事業を行っているジャパンケンネルクラブのまとめより、2022年の犬種別登録犬籍数が多かった順に挙げていきましょう。

不動の一位はトイプードルで、こちらは14年連続で一位をキープだそうです。二位はチワワ、三位はミニチュアダックスフンドです。以下、ポメラニアン、ミニチュアシュナウザー、フレンチブルドッグ、マルチーズ、ヨークシャーテリアと続きます。そして九位に近年に人気が急上昇している柴犬、そしてシーズーがランクインするということでした。

このようにざっと一位から十位まで見ても、柴犬以外はみんな小型犬です。長い歴史で体格を小さく改良された犬たちですが、このように体が小さい犬が罹りやすい病気には何があるでしょうか。

1.気管虚脱

こちらは気管支が構造を保てずつぶれてしまい、呼吸のトラブルを起こす病気です。ヨークシャーテリア、パグ、マルチーズ、フレンチブルドッグなどに好発し、心臓など循環器系にトラブルがある犬や、喫煙者がいる家庭の犬、肥満傾向の犬はこの病気のリスクが高いといわれています。

「ぜいぜい」「はぁはぁ」という荒い息使いや激しい咳が特徴で、重篤になると失神したりすることもあります。激しい運動や暑い環境下でもないのにぜいぜいと音が出るような呼吸をしている場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

投薬治療のほか、外科的な処置が必要になることもあります。室温管理をすることと、食事のカロリ―や適切な運動で必要以上に肥満にさせないことが大切です。

2.膝蓋骨脱臼

膝のお皿の骨がズレてしまう病気で、小型犬には特に多くみられます。特にトイプードル、チワワといった人気犬種に好発し、子犬のころにちょっと激しい運動をしたりジャンプを続けたりして膝に負担をかけると発症しやすくなります。

脱臼した子は脱臼したほうの足をついて歩くことができなくなるため、ひょこひょこと片足をあげるように歩いたり後ろ足をぐぐっと後ろのほうに伸ばして様子を見たりするような仕草が見られます。重症の場合は手術が必要になることも。

歩き方がおかしい、かばっているように見えるといった場合は動物病院を受診してください。段差から飛び降りる、人の足に飛びついてじゃれるという後ろ足に負担がかかることは避けるようにしてください。

3.心臓の病気

小型犬は先天的に心臓のトラブルを持っていることが多く、なかでも僧帽弁閉鎖不全症という病気の発症数が多いといわれています。僧帽弁とは心臓の四つの部屋のうち左心室と左心房の間にある弁で、心臓が大動脈へ血液を送るために重要な働きをしています。

重症になると僧帽弁がきちんと働かず、心臓から血液を送り出すことができなくなるうっ血性心不全を起こします。荒い呼吸、呼吸困難、食欲不振、運動を嫌がる、などの状態が続くようでしたら動物病院に相談をしましょう。初期段階で発見し治療をすることで病気の進行を遅らせることができます。

この病気を予防するには定期的な健康診断を受けることがとても大切になります。

また上記のほかに、小型犬は愛玩を目的に体を小さくするように改良をされているため、出産時にトラブルを起こしやすい傾向があります。母体の骨格や産道のサイズに対して胎児の頭蓋骨や骨格が大きく、自然分娩が大変難しいといわれているのです。繁殖については専門家とよく検討をする必要があります。

まとめ

小さくて可愛い小型犬ですが、体が小さい分だけ体重の増加や運動による負荷が大きくかかるため健康管理には十分気を付ける必要があります。

また小さい犬は比較的長生きをするので、持病となると医療費も長く続きます。

定期的な健康診断と観察で病気を早期発見し、重症化のリスクを低くしていきたいですね。

(獣医師監修:平松育子)

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