中国、北朝鮮、ロシアが軍備増強、それに伴い日本も防衛費約1兆円増…日本の防衛の現状は

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「New global」のコーナーでは、“日本の防衛のいま”について取り上げました。

◆周辺諸国の軍拡が進む中で日本が進むべき道とは…

日米両政府が北朝鮮や中国、ロシアが開発を進める極超音速兵器を迎撃するための新型ミサイルを共同開発する方針を固めました。

極超音速兵器は音速の5倍にあたる"マッハ5”以上の超音速で飛行するため、レーダー探知や迎撃が難しく、戦いを一変させる可能性がある次世代兵器と位置づけられています。日米が共同開発するのはそんな極超音速兵器が遠くで飛んでいる段階で迎撃するミサイルで、極超音速兵器への対処能力を向上させ、日米の抑止力強化を図る狙いです。

つい先日、日本の安全保障に関してまとめた最新の「防衛白書」が発表され、そこには周辺諸外国のさまざまな安全保障環境の変化、中国や朝鮮半島、そしてロシアの動き、俯瞰した世界の情勢なども記されており、キャスターの堀潤は「日本が今、何をしようとしているのかを知るにはとても良い資料」と評します。

そのなかでも、堀が注目すべきと取り上げたのはいわゆる自衛隊機の緊急発進(スクランブル)の回数。2003~2012年度と2013~2022年度を比較してみると確実にその数は増えています。

そして、周辺諸国の軍事力も拡大しています。中国は国防予算を大きく増強。堀は「もはやアメリカを凌ぐ軍事力を持っている。特に海軍は我々が直面しているアジア太平洋地域において相当な戦力の積み増しをしてきた」と語り、「アメリカの戦力を中国が超えるときの安全保障は何かということが今、語られている大きなポイント」と指摘。

一方、北朝鮮に関しては弾道ミサイルの発射は確実に増加。1998~2012年度と2013~2022年度にかけてでは約8.4倍に跳ね上がり、20年前と今では安全保障環境が大きく変化しました。また、ロシアとの北方領土問題も現状では着々と軍備化が進んでいます。

こうした状況に伴い、日本の防衛費も格段に増えています。これまでは5兆円台がひとつのラインでしたが、2023年度は6兆円台になり、「いわゆる安全保障のジレンマが伝わってくる」と堀。周辺国が軍事費を増やすならば日本も防衛費を増やさざるを得ず、日本が防衛費を増やせば周辺国も増強していく構造が出来上がり、さらには新たな兵器開発も行われているのが現状です。

「NO YOUTH NO JAPAN」代表理事の能條桃子さんは、「軍事的な予算が増えるということは、私たちの生活などに使える予算が減るか、税金が上がるかということになっていくと思うので、その優先順位のところを」と言及。防衛費が今年度は1兆円以上も一気に上がったことに対し、「果たして急激に上げることがいいことなのか。もう少し批判的な検討が必要なのではないか」と案じます。

工学博士の古田貴之さんは「全くの丸腰で平和はあり得ない」、「防衛のために技術やお金を使うのは反対ではない」と自身のスタンスを明らかにしつつ、肝心の防衛費についてはその中身を疑問視。「政府のあらゆる予算に言えるが、ちゃんと中身を検証したほうがいい。半導体やチップなどの技術開発も非常に上がっている。そこも含めて、(防衛費の増額分)1兆円が大きいのか、小さいのか中身を精査する必要がある」と声を大にします。

ヘッドライン社長の一木広治さんも「中身を検証するのは大事。今はドローンなど中身もどんどん変わっている」と古田さんの意見に同意した上で「ドイツも(国防費がGDPの)2%までいっているので、海外(の防衛環境)が変わっていることをちゃんと認識しないといけない」と主張。

キャスターの豊崎由里絵は「ある程度(防衛費を)増額するのはやむを得ないと思いつつも、やっぱり何に使われるのかはしっかりと知りたいなとは思います」と率直な思いを語ります。

総じて堀は、日本の現状を知るためにも「PDFでもご覧いただけるので、ぜひ防衛白書に1度目を通してみてはいかがでしょうか」と視聴者に呼びかけていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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