大量の完熟トマトをピューレにして瓶詰めし、学校給食で通年活用する──。トマト産地の東京都日野市で9月、全国の先駆けとなる地産地消給食の取り組みが始まる。
学校給食法は原則、野菜など生鮮品について1回で使い切る量の当日搬入を求める。このため、全国のほとんどの給食調理場には保存加工用の設備がなく、余分に納入しても貯蔵できない。
同市では、生産者から「規格外や作り過ぎたトマトを給食で使えないか」との相談が寄せられていた。市は8月23日、食品衛生法の設備基準を満たしていた平山小学校の調理場で「密封包装食品製造業」の許可を取得。給食調理場では初めてとなる「通年保存できるピューレの製造」が可能になった。
夏休み終盤の同25日、各校の調理員らが同小でトマト98キロをピューレに加工し、瓶詰めを小中12校に運んだ。2学期以降、ミートソースやスープ、チキンライスなどに使われる。生産者の籏野利之さん(68)は「日野が誇るトマトをあまねく活用できる。食育にも役立つ」とうれしそうだ。
JA東京みなみが、生産者との出荷調整や配送などを担い、地産地消給食を支えている。