1歳引き上げで4億円増…子ども医療費の助成、埼玉県が対象年齢の拡大検討 各自治体の支援拡充を前提

埼玉県庁=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県は2024年度の予算編成に向け、現在は未就学児までとしている子ども医療費の助成について、市町村における子育て支援拡充を前提に、対象年齢の拡大を検討していく方針を明らかにした。大野元裕知事が31日の会見で「なるべく早い段階で対象年齢拡大の具体的なもの、前提についてもお伝えをしていく」と考えを示した。

 通院や入院など保険診療の自己負担分が助成される対象年齢は「中学卒業まで」「18歳の3月まで」など居住する市区町村によって異なり、大野知事はかねてから、「地方自治体がそれぞれ競争するようなものであってはならない。ナショナルミニマム(最低限の生活保障)として国が統一的に実施するべき」との持論を掲げてきた。

 県としても国が4~6月に有識者を集めた「こども未来戦略会議」の動向を注視し、全国知事会などを通じて子育て支援策の確実な実施を働きかけてきたが、6月13日に国が示した「こども未来戦略方針」には、子どもの医療費助成制度の創設は盛り込まれなかった。

 「県民の税金を投入することなので、県民の皆さまには事前に申し上げるのが筋だろうと思った」と、知事選の公約にも盛り込んだ大野知事は、「市町村で実際に払っているもので、市町村の予算にも反映されなければならない。丁寧にコミュニケーション、対話を重ね、考え方や方針を伝えたい」と述べた。

 負担軽減を求める市区町村側の要望に対し、県議会では昨年9月の定例会で対象年齢を小学3年生まで引き上げると11億円増、同12月定例会でも1歳(小学1年生まで)引き上げると4億円増との積算が示された。国保医療課の担当者は「金額が大きく、簡単には線引きが示せない。県全体でどれだけお金が出せるかという話になる」と今後の見通しを語った。

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