人手不足の祭り、八戸西高野球部員が「リリーフ」 青森・五戸町 難所の急坂で山車けん引を救援

運行団体と一緒に山車を引っ張り上げる八戸西高校の野球部員たち
山車の引き上げを担当する坂の前で気合を入れる部員たち

 青森県五戸町の五戸まつりは最終日の3日、4年ぶりに「お還(かえ)り」が行われた。山車9台の運行に当たり、最大の難所がルート途中の急な上り坂。これまで山車の引き上げに参加、協力していた五戸高校が2022年3月に閉校し、人手不足に直面した今回、八戸西高校野球部に協力を仰いだ。部員33人は元気に山車を引っ張り上げ、見事な「救援登板」を果たした。

 お還りはルート途中、五戸川沿いの川原町から商店街に至る急な長い上り坂を通行する。運行団体による山車の引き上げには役場職員も協力するが、青森銀行脇の坂は、五戸高の閉校で助っ人が不在に。山車運行責任者会が話し合い、同会代表の中村渉さん(元プロ野球日本ハム投手)がコーチを務める八西野球部に協力を依頼。同校は快く承諾した。

 選手29人と女子マネジャー4人は昼過ぎ、青銀坂の近くに到着。小川貴史監督が「目いっぱい楽しんで五戸まつりを盛り上げよう」と呼びかけると、部員は二手に分かれ、交代で運行団体に加わり、力いっぱい山車を引っ張った。

 3年生でただ一人参加した大沢康征(こうせい)さん(五戸中出身)は「五戸まつりの参加は小学3、4年生以来で楽しい」と話し、山田琉生(るい)主将(2年)は「部活では見たことのない笑顔ばかりで、みんな本当に楽しそう。機会があればまた参加したい」と喜んでいた。

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