のど飴とグミが大幅増 脱・マスク生活も追い風に カンロ

カンロは1-6月、飴とグミが大幅増となった。上期(12月期)売上金額は、飴が前年同期比18%増の73億4千600万円、グミが20.7%増の66億5千200万円を記録した。飴は、のど飴が大きく牽引した。

7月28日、中間決算発表会に臨んだ村田哲也社長CEOは「本来であれば夏場大きく落ちていくはずの飴が好調。特にのど飴が昨年後半からずっと前年を上回って伸びており、のど飴がこのまま落ちずに安定的に推移していけるかが下期のポイント」と語る。

主要ブランド別では「ノンシュガーのど飴」が32.5%増、「健康のど飴」が66.6%増となり、コロナ禍で苦戦していたコンパクトサイズやスティックサイズも人流回復や外出機会の増加に伴い回復に転じた。

村田哲也社長CEO(カンロ)

のど飴の好調要因について、阿部一博取締役常務執行役員CFOは「花粉発散量が増加したことに加えて、マスクレス生活になり逆にセルフケア需要が高まったことで、のど飴需要が高止まりしている。『健康のど飴』に関しては、TVCMによる押し上げ効果も含まれる」と説明する。

グミは、「ピュレグミ」(34.2%増)とハードグミ「カンデミーナグミ」(12%増)が牽引役となった。「マロッシュ」は、急激な需要増加により一部商品の休売を余儀なくされたことで2.4%減と足踏みした。

グミの喫緊の課題はシェア拡大にある。上期グミ市場は、輸入品など競合品が増加したことで27.6%増となった(出典:インテージSRI+)。市場の伸びに追いつかずシェアを0.3ポイント落とした。これについて村田社長は「(上期のシェアダウンについて)悔しいと思っている。他の企業さまに先行して市場をとってきて大きく伸ばしたため、その反動もあるのかもしれない。休売などいくつかの要因で下がったと認識しており、年間で少しでも取り戻していきたい」との考えを明らかにする。

シェア拡大に向けて下期は「ピュレグミ」「カンデミーナグミ」「マロッシュ」の主要ブランドに集中する。

生産体制も強化。約14億円投じて松本工場(長野県松本市)のグミ製造棟の拡張に着手しグミ生産能力を約3割引き上げていく。増築分は10月の稼働を予定している。

今後注視すべき動向としては、インバウンド需要の高まりを挙げる。「グミが中心になるかと認識しているが、どのようなものが買われて、どのくらいの大きさになっていくかも下期にみていきたい。その結果、施策の打ち方一つで多くの方々を取り込めることになる」と期待を寄せる。

グミが支持されている理由については「手軽でタイムパフォーマンスがよく、『罪悪感が少ないおやつ』という捉え方をされている方が多いように感じている。『噛むおやつ』としてハード系のグミが男性の方にも買われるなど購入層も広がっている。いろいろな色や形を含めて次々と新規性のある商品が出されて、Z世代を中心にSNSなどで話題化されていることも含めて、いくつかの要素でグミが非常に伸びている」とみている。

今後も購入率などの点から拡大を見込む。「グミの購入率は10年間で6ポイント程度しか伸びず現在4割台。逆に飴の購入率は少し落ちているものの6割台。10代は飴よりもグミを購入する傾向にあるが、10代以外の世代は飴を買われる傾向にありグミはまだまだ伸びる余地がある」と述べる。

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