故郷への感謝込め演奏 平岡奏さんギターリサイタル、和歌山・田辺市龍神村で

感謝の気持ちを込めてクラシックギターを演奏する平岡奏さん(和歌山県田辺市龍神村柳瀬で)

 和歌山県田辺市龍神村柳瀬の交流拠点「DRAGON PARK(ドラゴンパーク)」で26日、龍神村で育ったオーストリア・ウィーン在住のクラシックギタリスト、平岡奏さん(26)によるリサイタルがあった。故郷の思い出と、支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを音に乗せ、10曲以上を演奏した。

 主催は、県内や龍神村の有志でつくる「平岡奏クラシックギターリサイタルを開く会」。県や田辺市、紀伊民報が後援した。

 平岡さんは小学3年生の頃、家族で神奈川県から龍神村小家に移住。龍神中学校を卒業するまでの約6年間を過ごした。和歌山大学に在学中、日本ギターコンクール大学生部門などで入賞。本格的にクラシックギター奏者の道を志し、大学卒業後にウィーン国立音楽大学に進学し現在も研さんを積んでいる。

 リサイタルには龍神村などから90人以上が来場した。平岡さんは、それぞれの楽曲の特徴や、作曲者についての解説を交えながら「プレリュードホ長調」「ソナタ作品15より第1楽章アレグロ・スピリトーソ」「アルハンブラの思い出」「タレガ讃歌」などのほか、映画音楽の「愛のロマンス」や「黒いオルフェ」を演奏。6本の弦が織りなす多彩な音色で来場者を魅了した。

 平岡さんのことを小学生の頃から知っているという小家の小川幸子さん(86)は「立派になって、こうして龍神村でリサイタルを開いてくれてうれしい。演奏を聴いて、涙が出るほど感動した。ギター1本で、まるでオーケストラのような迫力があり、聴き応えがあった。立派な音楽家になってほしい」と話した。

 演奏を終えて平岡さんは「最後まで感謝の気持ちを込めて演奏できたので、その気持ちは音色にも乗っていたと思う。龍神村でリサイタルをしたいという思いはずっとあり、今回多くの方が協力してくれてようやく実現できた。龍神村でお世話になった皆さんにも来ていただけたのが、本当にうれしかった」と喜びを語った。

 平岡さんにとって、龍神村で過ごした思い出や、自然から得たインスピレーションは演奏の原点となっているといい、「龍神村での思い出を反映させた曲を演奏する場を、今後も設けていきたい。クラシックギターという楽器の魅力も知ってもらいたい」と話した。

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