酷暑影響、地物は少なく 底引き初物、近江町に並ぶ

底引き網漁解禁で店頭に並ぶ初物=4日午前10時40分、金沢市の近江町市場

 1日解禁の底引き網漁で、しけのため2日遅れの水揚げとなった初物が4日、石川県内各地の鮮魚店やスーパーの店頭に並んだ。金沢市の近江町市場では、甘エビやメギス、カレイなどがかごに盛られ、店員の活気あるかけ声が響く中、主婦らがこぞって買い求めた。今年は石川沖の海水温が高い影響で地元産の入荷は例年より3割ほど少なかった。

 大口水産では、中ぶりの甘エビが15匹650円、メギスが10匹で500円と例年よりやや安い価格で販売された。水揚げが少なかったハタハタは3匹千円程度と3割ほど高い値が付いた。荒木優専務は「秋が深まるにつれて出荷量、魚種とも増える。地元の人も観光客も広く味わってほしい」と期待した。

 メギスを買い求めた金沢市長町3丁目の主婦、旗智恵さんは「地物のメギスは煮ても焼いても揚げてもおいしい。安く買えてよかった」と笑顔で話した。

 金沢市中央卸売市場では4日未明、底引き網漁の初競りが行われ、初物22トンを仲買人が次々と競り落とした。初競りに先立ち、村山卓市長が「これから旬を迎える海の幸をたくさん販売して消費につなげてほしい」と呼び掛けた。

  ●海面水温3度高く

 県水産総合センターによると、8月20日の県周辺の海面水温は27~29度台で、過去5年間の平均と比べ海域によっては3度ほど高い。

 関係者によると魚の生息域が変化した可能性があり、底引き網漁初日の地元漁船の水揚げは例年より3割程度減った。

  ●金沢33度、輪島32度

 4日の石川県内は雲が多いものの暑さは続き、正午までの最高気温は金沢33.3度、輪島32.2度で平年を4度ほど上回った。湿った空気の影響を受け、加賀では午後に雨の降る所がある見込み。

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