なぜファミリアはコラボに注力?「もっと愛されるブランドに」

ベビー・子ども関連ブランド「ファミリア」(本社:神戸市中央区)が、最近さまざまな企業とのコラボを手がけている。その相手には神戸の守り神「生田神社」から、神戸・御影にある洋菓子店「マモン・エ・フィーユ」など、神戸に縁が感じられるものも多いが、「ダンロップ」や「ニューエラ」などのグローバル企業まで幅広い。

神戸にある「生田神社」(神戸市中央区)とコラボした絵馬「はぐくま」

コラボ商品はどれも「めっちゃ可愛い」「全部欲しい」と注目を集め、発売開始から3分で売り切れてしまうほど人気だが、なぜ一流ブランドがここまでコラボに注力するのだろうか? 今回はその理由を探るべく、「ファミリア」本社へ広報担当者を訪ねてみた。

「ファミリア」の本社オフィス(神戸市中央区)、看板キャラクター・ファミちゃんがお出迎えをしてくれる

■ 商品づくりのキーは「ぶれないファミリアらしさ」

──ファミリアさんのコラボ商品は、必ずと言っていいほど「かわいい」と話題になり、オンラインでは争奪戦になることも珍しくないですよね。

そう言っていただけてありがたい限りです。弊社のコラボ商品での「強み」でいうと「デザイン力」や「新しさ」、「多様性」ではないかと感じています。コラボ商品は他社さまと協力して作っていきますが、それぞれの特徴を活かしながら、打ち合わせを進め、基本的には弊社のクリエイターチームがデザインをおこないます。そのため、新しい要素はありながら、ファミリアらしさはぶれないアイテムに仕上がっているのではないでしょうか。

米国のヘッドウェア&アパレルブランド「ニューエラ」とコラボしたキャップ、発売初日に即完売となった

──最近、反響が大きかった商品「マモン・エ・フィーユ」さんの雑貨は、お店で働いていたりというデザインになっています。

アートやデザインは通常のものづくりと同様に、ひとつひとつにデザイナーの想いが込められていて、デザインからお話を想像して欲しいという思いがあります。

5月に発売された「ファミリア」と洋菓子店「マモン・エ・フィーユ」がコラボした限定雑貨

「マモン・エ・フィーユ」さんのブルーのクッキー缶なら、クマちゃんが「パリにお出かけに行きます」「どんなところに行くのかな?」「パリってどんなところなのかな?」と、お話が広がるようなデザインになっていて、それは創業当初からずっと大切にしているところです。広報としては、デザイナーさんに「これってどういう背景があるんですか?」と聞きにいくのが楽しみだったりします。

■ 関西人にとっては「我らがファミリア」、ほかの地域では違う?

──先ほど話に出た地元のお菓子屋さんや「生田神社」さんなど、地元の企業間でのコラボも大切にされているんですね。

「マモン・エ・フィーユ」さんは、ものづくりの丁寧さや手作りというところにこだわりがあって、弊社が大切にしているものづくりと一致している部分がありコラボさせていただきました。ものづくりや地域性、神戸を一緒に盛り上げようという思いが根底にありますね。

2018年に神戸・旧居留地にオープンした「ファミリア 神戸本店」(2018年撮影)

──とはいえ、最近ではスポーツ用品ブランドの「ダンロップ」や世界的アパレルブランド「ニューエラ」など、グローバル企業まで、どんどんと幅が広がっているきているイメージもあります。協働相手はどのように決められているのですか?

ものづくりの背景だったり、ビジョンが一致していたり、ファミリアにない強みを持たれているなど、互いに協力して、新たな価値が創出できそうだなと感じたところと、コラボさせていただくことが多いです。

「ダンロップ」とのコラボは、「ファミリア」でも珍しいポリエステル混の機能性素材を使ったアイテム

──現在、コラボのバリエーションはかなり増えているのだとか。

そうですね。コラボレーションの実績が他社さまとの取組につながり、オファーをいただくことがあります。また、関西にゆかりのあるブランドなので、地域によって認知度が異なることがあります。認知度アップやブランド力アップのために、全国的に認知度の高いブランドさんの力をお借りするところがあります。

──関西に住んでいると、ファミリアさんはすでによく知られた存在なのに・・・というイメージです。

東京など関東圏に比べると、神戸付近では弊社のデニムバッグやエコバッグなど目にする機会が多いと思います。「あ、これファミリアチェックだ」みたいな認知度は、関西ほどないのかなって。近年は、認知度が上がってきているというのは感じていますが、地域性がかなり強いブランドだと思います。

でも、そんな「ローカルに愛されるブランド」だからこそ、より広く愛されるブランドを目指していきたいと常に考えています。

神戸で生まれ、関西人にとっては深い馴染みのある「ファミリア」。絶え間なくコラボ商品を発表する背景には、そんな「地元を盛り上げたい」という思いと同時に、関西圏外でも関西同様にファンを獲得していきたいという狙いもあった。

「ファミリア」の軸、また同社が持つやさしい世界観はブレずとも、どんどん広がってゆくアイテムの幅。関西はもちろん、全国の街なかで「ファミリアアイテム」を見かける機会は、これから増えていくかもしれない。

取材・文・写真/太田浩子

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