県立中央病院(青森市東造道、684床)と青森市民病院(同市勝田、459床)の統合新病院整備を巡り、宮下宗一郎知事は4日、現状では「責任ある議論が進んでいない」として、検討内容の全面的な見直しを正式に表明した。西秀記青森市長は、これに応じる形で「宮下知事が見直すということであれば、歩調を合わせて進めていく」との考えを示した。宮下知事、西市長ともに、事業全体のスケジュールは「変わらないよう配慮したい」と話した。
県庁で報道陣の取材に応じた宮下知事は▽県内2次医療機関との連携▽大規模病院の新築を想定した場所選びやまちづくり、現病院の跡地利用▽統合新病院の開業時期-の項目を例示し、これまでの議論が不十分だとの認識を強調。「私自身が納得し、県民に示せるビジョンをこれから検討し、その過程はできる限りオープンにしていきたい」と語った。
県病、青森市民病院ともに老朽化が進む中で、「早急に建て替え、移転が必要との認識は変わらない」と説明。一方で、「病院の統合は拙速に決められない。まず大事な中身を詰め、これまでのスケジュールにはこだわらずに、新スケジュールを示す準備を進める」と述べた。県立つくしが丘病院(青森市)も含めた検討が必要との考えも明らかにした。
西市長は、青森市役所で報道陣の取材に応じた。現在まで進んできた検討の内容については「私はあまり懸念がなく、見直すまでは考えていなかった」としつつ、「県と市が一緒に進めなければいけない事業。あらためて知事の話を聞きながら、こちらとしても言うべきことは言っていきたい」と話した。
病院統合そのものは「人口減少がさらに進む中で、二つの大きな病院を維持するのは難しいだろう」との理由で、必要だとの見解をあらためて示した。立地場所を巡り、現在提示されている県有地3案のほかに、市有地を検討対象とする余地があるかどうかの問いには「私の思う範囲では、適当な場所はなかなか難しいのではないか」と答えた。
医療従事者不足、建物の老朽化など、両病院が抱える課題に対応するため、県と市は2022年2月に「統合新病院の新築、共同経営」の基本方針に合意した。両者は基本方針を維持しつつ、23年度内を目標としている基本構想・基本計画の策定時期や、議論の方法も含め、再検討を進める。