「N700TypeA」のジオラマ風スイーツ、新幹線が見えるお部屋で楽しんで……絶景の「新横浜プリンスホテル」が芸術の秋に仕掛けるアートスイーツプラン

富士山をバックに走る「N700TypeA」のジオラマ風アートスイーツ

ことし3月の相鉄・東急新横浜線の開業で注目を集める新横浜に、地上約150mの円柱型の建造物がある。1992年3月、東海道新幹線「のぞみ」と同じ年に開業した「新横浜プリンスホテル」だ。

眺望の良さで知られる同ホテルが今秋に提供するのが、こちらの「新幹線アートスイーツステイ」プラン。新幹線が眺められるトレインビューのお部屋を確約し、客室内で「N700TypeA」のジオラマ風に仕立てた芸術的なスイーツが楽しめる。

記者が宿泊したのは23階の2317号室。遠目にみなとみらいの特徴的なビル群が見え、手前には東海道新幹線が走る。ラージAやスモールA、SupremeのSなど、新幹線の車両のロゴも目視で見分けられるほどの近さだ

スイーツはホテルのパティシエによる手作りで、線路から車両まで全て美味しくいただける。車両は種類の異なるチョコレートバーをホワイトチョコでコーティングしており、線路やバラスト(砂利)はチョコレートやクッキーで作られている。

車両をよく観察すると窓枠の部分が少し凹んでいたりして、細部へのこだわりに驚かされる。

盛土部分はフルーツケーキとなっており、爽やかな風味がチョコレートの甘味を引き立てる。富士山も食用の色粉で描いた。もちろん「Prince Hotel」のプレートも食べられる。

イチゴやラズベリー・ブルーベリーなどの酸味がまたケーキの甘味を引き立てる

手の込んだアートスイーツゆえ、作るには2日かかる。だから、この新幹線アートスイーツプランは3日前までの予約制で1日1室限定の特別なものだ。ボリュームも相当なもので、しっかりお腹を空かせておくと良いだろう。

販売期間は2023年9月1日~10月31日まで。予約は3日前から受け付けており、31日の取材時点ですでに数件予約が入っていた。料金は1人あたり14,250円(2名利用時)。新横浜プリンスホテルの担当者によれば、2人でちょうど28,500円になる価格設定は、東海道新幹線の最高時速285km/hにちなんだもの。

「のぞみ」と同い年のホテル、「新幹線スイーツ」の誕生は30周年がきっかけ

新横浜プリンスホテル外観。商業施設「新横浜プリンスペペ」と直結する

プリンスホテルは言わずと知れた西武グループのホテルブランド。景勝地に立地することが多く、客室からの眺望の良さが特長だ。最上級の「ザ・プリンスギャラリー」から上級ブランドの「ザ・プリンス」「グランドプリンス」などがあり、近年では宿泊に特化した「プリンス スマート イン」なども登場している。「プリンスホテル」はこれらの中ではリーズナブルな価格帯のブランドになる。

新横浜プリンスホテルが誕生したのは1992年3月20日。東海道新幹線の最速達種別「のぞみ」が登場したのは1992年3月14日のダイヤ改正時だから、ある意味では「のぞみ」と共に歩んできたホテルと言える。しかしこうした新幹線モチーフのケーキを売り出したのはごく最近のことで、これまではトレインビューを謳うのみだった。

きっかけは2022年、新横浜プリンスホテルの30周年だ。「のぞみ」が同じく30周年を迎えることから初代「のぞみ」用車両の「300系」をモチーフにした記念ケーキを企画し、JR東海にコラボレーションを持ち掛けた。「のぞみ」ケーキはその見事な造形と確かな品質でじわじわと人気を獲得し、9月の再販時に大ブレイクした。

300系新幹線のぞみトレインケーキ(写真:新横浜プリンスホテル)

その後も鉄道関係の企画は続く。同じ横浜に本拠地を構える相模鉄道と組み、「相鉄20000系」のトレインケーキや「そうにゃんルーム」を発売。ケーキ・「そうにゃんルーム」ともに大好評で終了したという。

新幹線アートスイーツステイプランは今秋限定の企画だが、今後も鉄道と絡んだ素敵な企画が打ち出されるかもしれない。「絶景」だけではない、新横浜プリンスホテルの新たな魅力に注目したい。

新幹線ホームの灯りに新幹線車両が浮かび上がる光景は幻想的ですらある
プリンスホテル客室内の様子
2階「ブッフェダイニング ケッヘル」では、席によっては新幹線の行き交う様子が眺められる。新幹線好きなら出張時などは朝食付きのプランで泊まりたい

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