観光客誘致に若者の力が光る!Z世代の複業は地方にニーズあり

大手企業や金融機関の複業解禁が相次ぎ、新しいキャリアの選択肢として複業が注目されています。そんな中、社会人経験が浅い20代には、複業案件を獲得することが難しいのではないかという声をよく聞きます。

私が代表取締役を務めるAnother worksでは、複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」を運営しており、複業で活躍するZ世代をたくさん見てきました。その中でも、Z世代がすぐにでも即戦力になれるのは地方です。DX人材が不足する地方では、デジタルネイティブなZ世代が救世主として求められています。

Z世代の複業への関心が高まっている

複業への興味や関心は年々高まっていますが、特に今、Z世代からの注目が集まっています。マイナビが21年卒の就活生を対象に実施した調査では、「正社員の副業についてどう考えるか」という問いに対し、「興味はある、ぜひやってみたい」と前向きな回答をした就活生が7割を超えました。

また、就職情報サイトなどを運営する学情が2022年に実施した調査では、「勤務する会社で副業が認められていたら、副業したい」と回答した20代が9割に迫りました。

そして、副業を希望する理由として上がったのは「収入を増やしたい」意外にも「本業では得られない経験を積みたい」「好きなことを活かして仕事をしたい」「スキルを磨きたい」などがありました。金銭報酬以外のスキル報酬や感情報酬を目的とした複業が、広がりを見せています。

Z世代の特徴、金銭以外の報酬も目的に

金銭報酬以外にも、スキルアップしたい、地元に貢献したいなど、スキル報酬や感情報酬などさまざまな目的をもって複業をするZ世代が増えています。

この背景として、Z世代は幼い頃から東日本大震災など数多くの未曾有の自然災害と向き合い続け、社会と触れ合う大学生の期間にコロナを経験したことから、より社会性やイデオロギーなどを報酬よりも重視しているという傾向が挙げられます。

当たり前が当たり前ではなくなるという経験をしてきたからこそ、「自分にも何かできないか」「社会のために貢献したい」という想いを軸にキャリアを選択するZ世代が増えているのではないかと考えます。

社会人経験が浅いZ世代でも複業はできる?ニーズは地方にあり

とはいえ、社会人経験が浅いZ世代には、複業案件を獲得することが難しいのではないか、と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。私は、実際に20代で複業案件を多数こなしている方を近くで見てきました。

Z世代がすぐにでも即戦力になれる、救世主となれるのが地方です。地方は人手不足はもちろん、特にデジタルの分野に強い人材が本当に足りていません。そんな中、デジタル分野に強いZ世代は、「地方の救世主」として、すぐにでも活躍することができるのです。

例えば観光の分野。アフターコロナを迎え、全国各地の自治体が観光客の誘致に力を入れ始めました。観光客を誘致するためには、SNSやHPに掲載する写真やキャッチコピーが重要になってきます。普段からSNSで「映え」を意識しているZ世代にとっては得意分野なのではないでしょうか。

実は、前回の記事でご紹介した、能登町のイカキングの経済効果算出を支えたのも、Z世代の方でした。

多様化する行政課題や住民ニーズに対応するために、Z世代ならではの視点・力は全国的に必要とされているのです。そして地方は、デジタルネイティブ世代をどう観光や地方創生に活かすか、を検討すべきでしょう。

寄稿者 大林尚朝(おおばやし・なおとも) ㈱Another works代表取締役

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