大分県内の小中学校、給食「センター方式」主流に 児童・生徒数減、調理場老朽化も背景【大分県】

学校給食センターから届いた給食を配膳する児童=別府市の南立石小

 県内の小中学校で、複数校の給食を一括して調理する「センター方式」が主流になっている。少子化による児童・生徒数の減少を背景に、校内にある調理場の老朽化も踏まえて各市町村教委が導入を進める。今月から別府市が全面移行し、来年度には県内ほとんどの学校が共同調理の給食になる。校内で作る「自校式」を今後も継続するのは大分市のみで、児童の食育などに生かす考えだ。

 別府市は1日の2学期開始に合わせ、同市原町に新設した学校給食センターが稼働した。最大8500食を作ることができ、小中の全21校に供給する。

 南立石小(328人)には午前11時過ぎ、配送トラックが着いた。児童が教室へ運び、初日を祝う赤飯やモズク汁などを味わった。

 6年の菊池彩也香(さやか)さん(11)は「給食の先生に会えないのはさみしいけれど、変わらずにおいしかった」。安部恵校長(57)は「温度管理が徹底されていて安心した」と話した。

 同市を含め、県内は18市町村中、16市町村がセンター方式で各校をカバーする体制になった。

 残る2市のうち、津久見市は小中3校のみを共同調理場で賄っている。来年の2学期から範囲を広げ、保戸島を除く全4小学校と1中学校(来年4月に2校が統合)へ供給する予定。

 市内の小中学生は本年度、約860人。2013年度の約1260人から10年間で3割以上減った。市教委学校教育課の橋本修二課長(53)は「少子化で各校の児童・生徒数が減少している。自校式は調理員の人数も限られ、負担感が大きい」と説明する。

 こうした中、大分市は野津原、佐賀関両地域などを除く小学校50校で自校式を維持している。中学校が10年度までにセンター方式になった後も続けており、市教委は「各校が調理員とコミュニケーションを取れる。児童も食への関心を抱きやすい」と利点を挙げる。

 文部科学省の調査によると、センター方式は21年5月時点で全国の公立小の52.3%、公立中の61.7%が導入した。都市部より地方部で割合が高い傾向にある。大分県の小中はそれぞれ73.8%、98.3%で全国を大きく上回っている。

 同省初等中等教育局健康教育・食育課は「どちらが良いというものではなく、児童・生徒数やコスト面など、それぞれの判断で決めていると認識している」と述べた。

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