関西で人気上昇中、シンプルすぎる「新食感クレープ」って?

「クレープ」といえば、もっちり食感の生地に生クリームやフルーツなどの具材がたっぷり包まれたものを想像するだろう。しかし近年、その概念を覆す新食感のクレープが巷で流行中だという。関西でも取り扱う店舗が増えつつある、その「新クレープ」とは?

「ハナサククレープ」の「シュガーバター」(500円)こんがりキツネ色で、見るからにパリパリ!

■ 具材はシンプル、あくまでも「生地が主役」

ここ最近、SNSを賑わせている「パリパリ生地のクレープ」。クリームやチョコスプレーなどのカラフルなトッピングもなく、こんがりと焼き目の付いた生地のみの「THE シンプル」なビジュアルだ。

関西で、この「パリパリクレープ」先駆け的存在である「ハナサククレープ」(神戸市中央区)では、2023年1月に商業施設「神戸三宮センタープラザ」近くにオープンするや連日多くの人が列を作っている。

出店の経緯について店主は、「僕たちが好きになったキッカケの名古屋にはこういったパリパリクレープを扱うところが数店あって。でも関西にはあまり見かけないなと思って・・・」。その後も全国のクレープを食べ歩き、研究を重ねたという。

「このクレープは、あくまで生地が主役。具材を挟んでいるメニューは、生地がいかにおいしく食べられるかで選んでいます。それもあってか学生さんなどの若い方だけでなく、生クリームはちょっと重たい・・・と感じるお客さまもたくさん来られます。実際に店をオープンして、男性の方が1人でもいらっしゃるのが意外でした」と言うように、取材中も男子高校生のグループからマダムまで、幅広い層が足を止めていた。

生地は200度以下の低温でじっくり焼き上げ、ザラメとブレンドシュガーの2種の砂糖とバターで焼き上げる。使用する材料がシンプルなだけに、バターの量は欲張ってしまいそうだが、この塩梅が「パリパリ食感」になるか否かの重要なポイント。また生地は天候や湿度の影響を受けやすく、ベストな食感を実現するために日々調整しているという。

焼き上がった生地の表面に「追いバター」をすることで、一口目にはバターの甘い香りがふわりと漂う。軽い食感の生地には、砂糖が溶け込みほんのり甘く、ザラメの食感がアクセントに

■ 酒の合間に…従来とは違った客層も虜

関西で「パリパリクレープ」は流行の兆しをみせており、2023年8月には大阪・天満に「CRAPE STAND」がオープン。飲み歩きの聖地として知られる天満なだけに、はしご酒の合間に立ち寄る客も多いようで、従来のクレープとは別の客層の心も捉えている。

最近の流行について、ハナサククレープの店主は「シンプルなものへの揺り戻しのような流れがあるのかもしれない」と分析。またTikTokなどの動画サービスではバリバリと大きな口で頬張る姿や大胆に割って音を楽しむ人も多く、「音ジェニックスイーツ」としても、今後も人気を高めていくかもしれない。

取材・文・写真/宮口佑香

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