水産支援策で207億円支出 予備費追加、計1007億円に

閣議に臨む(左から)斉藤国交相、岸田首相、高市経済安保相=5日午前、首相官邸

 政府は5日、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に伴い水産関係者を支援する経費として、2023年度予算の予備費から計207億円を支出することを閣議決定した。既存の基金800億円と合わせ計1007億円の対策とする。処理水放出に反発する中国が日本産水産物の輸入を全面停止したことへの対応で、4日に支援策を取りまとめた。

 経済産業省によると、予備費の内訳は、中国の全面禁輸を受け、輸出先の転換対策に約156億円を充てた。中国への主要輸出品目のホタテを扱う事業者を念頭に、国内の加工体制の強化に約51億円とした。

 支援策は5本柱で「消費拡大・生産持続」「風評影響対応」「輸出先転換」「加工体制強化」「迅速かつ丁寧な賠償」からなる。

 風評被害対策300億円、漁業継続支援500億円の計800億円の基金が既に設けられている。予備費を追加し、水産業支援を強化する。

 松野博一官房長官は5日の閣議後の記者会見で「スピード感を持って早急に実行し、全国の水産業支援に万全を期していく」と強調した。

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