信越化学、GaNパワーデバイスの真の社会実装に向けて、QST®基板事業をさらに推進

東京--(BUSINESS WIRE)--(ビジネスワイヤ) --信越化学工業株式会社(本社:東京、社長:斉藤恭彦、以下信越化学)は、QST基板をGaNパワーデバイスの社会実装に不可欠な材料であると見定め、開発と製品上市を推進してまいります。

QST基板はGaNと熱膨張係数が同等であるため、エピタキシャル層の反りやクラックの抑制が可能であり、大口径で高品質な厚膜GaNエピタキシャル成長を可能とする基板材料です。この特長を生かし、近年成長著しいパワーデバイス、RFデバイス(5GおよびBeyond 5G)や、マイクロLEDディスプレイ用の微小LED成長基板等への適用が期待されています。

信越化学は、QST基板の販売に加え、顧客の要望に応じてGaNを成長したエピタキシャル基板の販売も行います。口径は現状6インチ、8インチをラインアップしており、大口径化に有利な材料特性を生かし、12インチ化にも取り組んでいます。2021年以降、パワーデバイス、高周波デバイス、LED向けそれぞれに、国内外の多数の顧客にて、サンプル評価およびデバイス開発が続けられています。特にパワーデバイス向けでは、650~1800Vまで、広範な領域でのデバイスに向けて、継続評価が行われています。

これまで信越化学は、QST基板の改善を数多く重ねてまいりました。具体的な例としては、貼り合わせプロセスに由来する欠陥を大幅に改善し、高品質なQST基板の供給を可能としました。また多くの顧客から要望があったGaN成長の厚膜化に向けては、最適なバッファー層を成長させたテンプレート基板の提供を推進してまいりました。その結果、現在では安定して10μmを超えるエピ成長を実現しています。さらにQST基板を用いての20μmを超える厚膜GaN成長の達成や、パワーデバイスにおける1800Vブレイクダウン耐圧の達成などさまざまな成果が生まれ、報告されています。

さらに、信越化学は沖電気工業株式会社(本社:東京、社長:森 孝廣、以下OKI)と共同で、Crystal Film Bonding(CFB)技術でQST基板からGaNを剥離し異種材料基板へ接合する技術開発に成功しました。これまで、GaNパワーデバイスは横型デバイスが主流でしたが、CFB技術は、QST基板の特性を生かし、厚膜に形成された高品質GaNを絶縁性のQST基板から剥離することにより、大電流を制御できる縦型パワーデバイスが実現します。GaNデバイスを製造する顧客に、信越化学がQST基板又はエピタキシャル基板を提供し、OKIがパートナーリングやライセンスによってCFB技術を提供することで、縦型パワーデバイスの進展に貢献したいと両社は考えています。

これらの開発成果と、顧客からの引合い状況を踏まえ、生産増強を継続し、顧客からの需要に応えて参ります。

信越化学は今後の社会に不可欠な特性を兼ね備えたGaNデバイスのさらなる社会実装を進展させることにより、エネルギーを効率的に利用できる持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
なお、2023年9月6~8日(台湾)に開催する「セミコン台湾」にて、本製品の進展について発表いたします。

以上

※1:QST基板は、Qromis社(米国カリフォルニア州、CEO Cem Visceri)により開発されたGaN成長専用の複合材料基板であり、2019年に信越化学がライセンス取得。なおQSTはQromis社が保有する米国商標です(登録番号5277631)。

※2:以下のimecのリリース(2021年4月)をご参照ください。
https://www.imec-int.com/en/press/imec-and-aixtron-demonstrate-200-mm-gan-epitaxy-aix-g5-c-1200v-applications-breakdown-excess

※3:CFB技術は、GaNエピタキシャル層を基板から剥離する技術であり、OKIの登録商標となっています。

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