ストイコヴィッチがEURO予選で挑む「首位決戦」を現地取材。衰えぬ「58歳の華麗なキックフォーム」を撮影した

2022-23シーズンのUEFAネーションズリーグの2部にあたるBのグループ4でノルウェー、スウェーデン、スロベニアを相手に勝利を収め、トップカテゴリーへの昇格を成し遂げたセルビア代表。

さらに現在行われているEURO2024の予選でも3試合を戦ってまだ無敗。リトアニア、モンテネグロ、そしてブルガリアを相手に2勝1分けでグループ2位につけている。

その上昇気流に乗るセルビア代表チームを率いているのが、日本のJリーグでも長くプレーしたことで知られるドラガン・ストイコヴィッチである。

セルビア代表チームは今週7日(日本時間8日早朝)にハンガリーとホームで対戦。同じ勝点7でグループ1位に立つ相手であるため、まさに「首位決戦」といえるビッグマッチとなる。

その試合を現地で取材しているのが、バルカン地域の研究者でもある石川美紀子さん。セルビアやモンテネグロのサッカーを数多く取材し、カメラマンとしても様々な写真を撮影している女性だ。

今回石川美紀子さんはこのセルビア代表チームの記者会見と招集メンバー集合直後の練習に潜入。重要な試合を控えるドラガン・ストイコヴィッチ監督の様子をレポートしてくれた。

秋の気配が感じられるなか、ピクシーの記者会見に出席

セルビアは朝晩すっかり涼しくなり、ここ数日は日中もひんやりとした心地よい風が吹いて過ごしやすい気候が続いている。

代表ウィーク初日の9月4日(月)、ベオグラード近郊のセルビアサッカー協会ではEURO予選に向けて代表監督ドラガン・ストイコヴィッチ「ピクシー」の記者会見が行われた。

ベオグラード近郊のセルビアサッカー協会スポーツセンター

ユーゴスラビア解体後のセルビア、W杯こそコンスタントに出場しているが、未だEUROの本大会出場はない。2024年のドイツ大会出場を目指し、今回は予選グループリーグ4戦目ハンガリー戦と、5戦目リトアニア戦に臨む。

選手がキャリアを積んで移籍することは「誇り」

会見ではまず、今回招集されていない選手について、ピクシー本人から怪我の状況などの説明があった。

今日は急いでいない、質問はいくらでも受け付ける、と話したストイコヴィッチ

ベストメンバーとは言えないとしても、セルビア代表選手たちの夏の移籍市場は絶好調で、代表選手全体のレベル向上に満足しているとピクシーは語った。

ドラガン・ストイコヴィッチ

「GKジョルジェ・ペトロヴィッチはチェルシーに、FWルカ・ヨヴィッチはACミランに移籍した。我々の選手たちがキャリアを積んで良いクラブに移籍することを、私は誇りに思う。

セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチとアレクサンダル・ミトロヴィッチがサウジアラビアのアル・ヒラルに移籍して、これまでフォローしていた欧州の主要リーグだけでなく中東のクラブもフォローしなければならなくなったことだけが若干の悩みの種だね(笑)。

そのほかの選手についても、彼らのキャリアの前進は、選手たち自身にとって素晴らしいことであると同時に、彼らを信じていた我々にとっても報われることであり、非常に嬉しく思っている」

記者会見は1時間近くにもなった

セルビアは現在グループリーグで未だ負けなしと、まずまず好調ではあるが、今回の相手ハンガリーは同じく無敗でで現在首位である。ホームでの戦いということもあり、1位通過のためにはここでの勝利が絶対条件だ。

トレーニングで見せたピクシーの「華麗すぎるキック」を激写!

夕方、招集メンバーを集めて最初のトレーニングが行われた。各国リーグ戦を終えて、今朝の飛行機でセルビアに到着した選手も多いため、1時間程度の軽めの調整となった。

セルビア代表コーチ喜熨斗勝史氏も、もちろん参加している

今夏の欧州移籍市場を賑わせたドゥシャン・ヴラホヴィッチ(ユヴェントス退団の噂があったが、結局残留した)は、練習場に登場はしたが、早々に引き上げていった。

早々にトレーニングを去っていったドゥシャン・ヴラホヴィッチ

円陣が解かれた後、ピクシーが報道陣を前にボールを蹴り始める。今年3月に58歳になり、すっかり貫禄の姿となってはいるが、現役時代に「妖精」と称されたボールさばきは健在だ。

ロングキックは徐々に熱を帯び、華麗なフォームは当時を彷彿とさせる。

ロングキックの相手を務めたのはコーチのリュビンコ・ドゥルロヴィッチ氏

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セルビアにとって非常に大事な試合となるハンガリー戦は9月7日(日本時間8日早朝3時45分)キックオフ。6日(水)にはストイコヴィッチ監督と選手が出席する前日会見も行われる予定だ。

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