中国、処理水の国際評価参加拒否 IAEA枠組みを日本提案

東電福島第1原発の敷地内に並ぶ処理水の保管タンクを映す北京市内の大型画面=8月(共同)

 【ジャカルタ共同】東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を巡り、福島沖で採取した海水の放射性物質のモニタリング(監視)結果を当事国・日本を除いた形で客観的に分析・評価する国際原子力機関(IAEA)の国際的枠組みに加わるよう日本政府が中国政府に提案したのに対し、中国が拒否したことが5日分かった。日中関係筋が明らかにした。処理水の海洋放出に反発する強硬姿勢が改めて鮮明になり、日本が求める科学的根拠に基づく議論は困難となっている。

 インドネシアの首都ジャカルタで5日開幕の東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議には岸田文雄首相と中国の李強首相が出席。処理水を巡り対立が深まる日中の首相が接触するかどうかが焦点だ。ただ、正式な首脳会談は調整が進んでおらず、見送られる公算が大きい。

 日中関係筋によると、日本政府は今年に入ってから複数回にわたり外交ルートで中国側に対しこの国際枠組みへの参加を促した。中国側は「分析・評価の独立性が担保されていない」などと実効性を疑問視し、受け入れなかったという。

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