<金口木舌>県立芸大生の力

 8月は県立芸大生の活躍がめざましかった。根間笑花(えみか)さんはこま撮りアニメで全国最優秀賞を獲得。バスケットボールの沖縄伝来100年を機に、かつて首里城にあったリングと当時のボールの復元に携わったのも芸大生だ

▼藤原颯真(ふうま)さんは世界最大級のデザインコンペで若手最優秀賞を受賞した。受賞作のいすは、9種の県産木材で生み出された、らせん模様が特徴的。それぞれの良さが一見で分かる

▼多彩な才能が集まる芸大だが、卒業後の進路に悩みを抱く人は多い。全ての卒業生が芸術家や実演家になれるわけではない。就職もOBなどの人脈に左右されてきた

▼大学で育った人材をさまざまな分野へ送りだそうと芸大側も模索する。学生のコンペ挑戦を支え、企業から講師を迎えて人脈づくりに励んできた。著名企業へ就職した人もいる

▼素材の良さを熟知し、生かすためのアイデアを考え、意のままに表現する力は、芸大だからこそ身につく。「デザイン思考」とも呼ばれるこの力こそ、これからの企業の成長の鍵となるのかもしれない。

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