自虐ポスターで詐欺防げ 元科捜研の漫画家デザイン

埼玉県警越谷署で特殊詐欺防止の啓発ポスターを紹介する赤星誠署長=8月

 埼玉県警越谷署が、管内の被害が県内ワーストであることを逆手に、注意喚起する自虐的なポスターを作成した。デザインしたのは、元科学捜査研究所職員という異色の経歴を持つ漫画家古賀慶さん。家族のおびえる表情や牙をむいた犯人像が印象的で、8月から越谷市の駅やバスに掲示されている。

 管内の特殊詐欺被害認知件数は1~7月、63件、額は計2億916万円に上った。赤星誠署長が「嫌でも目につく啓発ポスターを作ろう」と発案。署員のつてを頼り、科捜研が舞台の漫画「トレース 科捜研法医研究員の追想」などを執筆した古賀さんに依頼した。

 古賀さんは科捜研に約7年間勤務し、DNA型鑑定などを担った。「依頼の数だけ、傷ついた被害者がいる」と考えながら職務に当たったという。一方、子どもの頃からの夢だった漫画家を諦めきれずに出版社への投稿を続け、受賞をきっかけに漫画家へ転身した。

 ポスターは2種類で「電話の向こうにいる犯罪者の恐ろしさを感じてもらえるよう描いた。元警察職員として、協力できることを誇りに思う」と古賀さん。

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