塚本晋也監督に温かい拍手 「ほかげ」、ベネチア国際映画祭

ベネチア国際映画祭の公式上映後、拍手に応える(右から)森山未来さん、塚尾桜雅さん、塚本晋也監督=5日、イタリア・ベネチア(共同)

 【ベネチア共同】イタリアで開催中のベネチア国際映画祭で5日、斬新な作品を集めたオリゾンティ部門に選出された塚本晋也監督の「ほかげ」が公式上映され、会場は温かい拍手に包まれた。

 同作には趣里さんや森山未来さんが出演。敗戦直後の日本を舞台に、居酒屋で体を売る女性や戦争孤児、復員兵らの姿を通して戦争がもたらすものを描き出した。

 塚本監督は、2011年に同部門の最高賞に当たるオリゾンティ賞(長編)の受賞歴もある同映画祭の常連。上映後の質疑応答では観客らから「マエストロ」と呼ばれ、「恐ろしい目に遭った一般の人たちの目を通して戦争を描きたかった。『子どもの世代が戦争に行かないで済むように』という祈りを込めた」と語った。

 その後、取材に応じた塚本監督は「世界中がきな臭くなっているので、危機感は伝わったのでは」と感触を語り、森山さんは「(会場の雰囲気から)塚本監督がものすごく愛されていると感じた」と話した。

 「ほかげ」は日本では11月25日に公開予定。

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