弘前市長、宿泊税を検討、1人1泊100~200円軸 導入なら東北初

 桜田宏弘前市長は5日、ホテルや旅館の宿泊者に課す「宿泊税」の導入を積極的に検討する考えを明らかにした。自治体が使い道をあらかじめ定めて、独自に課税できる法定外目的税の一つ。導入に向けた具体的なスケジュールや使途は未定だが、実現すれば東北初。市幹部によると、税額は1人1泊100~200円を軸に検討する方針。

 市議会一般質問で、坂本崇議員(櫻鳴会)の質問に答えた。宿泊施設が宿泊料金に上乗せして宿泊者から徴収し、自治体に納める。2002年の東京都を皮切りに、大阪、福岡の3都府県と、京都、金沢、福岡、北九州、長崎の5市、北海道倶知安町の計9自治体が導入。新型コロナウイルスによる行動制限が解かれ、観光需要が回復に向かう中、導入を検討する動きが全国的に広がっている。

 既に導入している自治体では、税収を外国人観光客向けの多言語案内板の整備や宿泊施設改修の補助金などに活用している。税額は、1人1泊100~千円の範囲で宿泊料金ごとに定めている自治体が多い。

 弘前市内にある55の宿泊施設に泊まった人の数は、コロナ禍前の2019年で約62万人だった。仮に1人200円の宿泊税を徴収した場合、税収は約1億2千万円。同市の本年度の観光関連予算約3億6千万円の3分の1をカバーする規模になる。

 桜田市長は答弁で「観光振興を図るために必要な財源を安定的に確保する方法の一つとして非常に有効。先行事例の調査を進め、関係機関や関連事業者と意見交換し、積極的に導入に向けての検討を進めていく」と述べた。

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